国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシアとの戦略的連携を深めるフランス

2009年12月01日 | 欧州
フランスとロシアは、反ロシア感情の強いウクライナ・ポーランド・バルト三国を通過しないガスパイプラインにフランスが出資することで合意した。ウクライナ・ポーランド・バルト三国はこの動きに懸念を強めているはずである。また、ロシアはフランスの最新鋭強襲揚陸艦「ミストラル」級を購入し、その後フランスからの技術移転を受けてヘリ空母4隻を国内で建造したい考えだという。グルジアやバルト三国はこの軍艦の脅威に直面することになる。 一方でフランスは昨年のグルジア紛争の解決を仲裁している。また、グルジアを通過するであろうナブッコ計画はロシアを経由しないパイプラインルートとしてEUが推進しており、フランスはグルジアを見捨てるつもりはないと思われる。グルジアとロシアの実質的な境界線は恐らく現状維持のままで今後推移するのではないかと思われる。 このような事態から見えてくるのは、欧州で主導権を握る独仏連合とロシアのような大国の地位が上昇し、小国は地位が低下するであろう、ということである。グルジア・バルト三国のような小国はロシアの軍事力に怯え、西欧諸国の軍事力に縋りながら生きて行かねばならない。現在のように反ロシア政策を採ることさえ困難になっていくことだろう。 各国が自国の国益を追求するパワーポリティクスの世界では、大国のみが自立したプレーヤーである。アメリカ一極時代には地域大国と小国は同格だったが、多極化する21世紀の世界システムでは、各極を形成する地域大国と小国の国力の格差が拡大することになるだろう。東アジアでは、日中印露の四カ国が全てを取り仕切る時代になると私は予想している . . . 本文を読む
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