国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

欧州に拡大するイスラム嫌悪

2008年02月26日 | 欧州
欧州でイスラム嫌悪の動きが高まっている。従来は極右とされる一部政党に限られていたのだが、オーストリア南部のカエルンテン州議会では州内にモスクやミナレットの建設を禁止する条例が承認された。極右とされる勢力が多数派となった訳である。今後、他の地域でも同様の条例や法案が成立する可能性は高いだろう。 欧州は多文化主義・宗教への寛容性という建前をうち捨てて、キリスト教文明というアイデンティティを明確にしつつある。欧州を人体に喩えるならば、内部で増殖し始めたイスラム社会を免疫細胞が異物と認識して攻撃し始めた段階である。預言者に関する悪意に満ちたイラストをデンマークの新聞が繰り返し掲載していること、モスクやミナレットの建設を禁止する条例が承認されたことこそがその攻撃のよい例である。 イスラム教では改宗が死罪にあたることを考えると、キリスト教への改宗による同化は期待薄である。また、宗教行事にほとんど参加しない世俗的イスラム教徒として欧州で生きていくという選択枝も考え得るが、結婚や葬儀といった行事はやはりイスラム教の教義に則って行わねばならず、そこでキリスト教社会と対立してしまうように思われる。欧州のイスラム教徒は最終的には大部分が追放され、従来イスラム移民が行っていた低賃金労働は東欧出身労働者が代行するという未来が予想される。 . . . 本文を読む
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