国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

EUが入国管理を強化、指紋採取へ:背景にある、国際金融資本からG8への世界支配者交代

2008年02月18日 | イスラエル・ユダヤ・国際金融資本
日米に引き続いて、EUが渡航者に指紋などの生体認証情報の提出を義務づける方針を明らかにした。これで、G8諸国の内で入国に指紋提出が必要でない国はロシアとカナダの二カ国のみとなる。両国も恐らく近いうちに指紋採取に踏み切ると想像する。 日米EUのいずれも、指紋採取の理由としてテロ対策を筆頭にあげている。しかし、真の目的が不法移民や犯罪者の入国阻止にあることは間違いない。日本を例に挙げると、中国人や韓国人の入国者は旅券だけで管理することが困難であり、それ故に指紋を含めた生体認証情報が必要になっていると考えられる。欧州についても、不法入国者の多くが欧州を経由して他地域に向かう航空券を購入して欧州の乗り継ぎ空港で合法的に入国しその後不法滞在していることから、合法的入国者の管理を強化する方針に踏み切ったのだと想像される。 米国が指紋採取の方針に踏み切ったのは2001年の911事件がきっかけであるが、それに先立つ2001年1月のブッシュ政権成立が米国の入国管理政策の重要な転機であったと思われる。クリントン政権時代の米国は金融業や情報産業を中心にバブルが形成され、そのバブルめがけて多くの外国人が流入していた。国境の垣根を低くして米国に人材を集めて米国の世界覇権を維持していこうというのがクリントン政権の政策であるが、その裏では製造業や事務職の職場が外国に大量に流出して、米国の中産階級が大きな打撃を受けていた。米国の国益よりも国際金融資本の利益が重視され、国際金融資本が米国を支配していたのがクリントン政権であったように思われる。 ブッシュ政権は対照的に国境の垣根を高くしており、日本やEUもそれに追随している。ブッシュ政権では国際金融資本は影響力を失い、それに代わって米国の国益を追求する人々が政権に就いているのだ。日本やEUでも、環境問題や安全性を根拠に域内で販売される商品への各種規制が強化され、それによって途上国からの輸入品が排除される動きがある。中国産毒入り餃子の問題がマスコミで大々的に扱われているのも同様の意図であろう。ブッシュ政権の成立と共に国際金融資本からG8へと世界支配者が代わり、それ故にG8各国が自国の国益を表立って追求することができるようになるという革命的変化が起きている様に感じられる。 . . . 本文を読む
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