本堂裏手から姿を現した青の鬼が、大松明とともに回廊を練り歩き、ぐるりと一周して再び本堂裏手から現れた時です。
今度は本堂前側から姿を見せたのがこの緑の鬼。
本堂西側の回廊の端と端に現れた鬼同志が、互いに眼光を怒らせながら、その歩を近づけて行きます。
「ウー!んーっ、ぅおーっっ!!」と、奇声を上げながらのしのしと歩みを進め、あわや一触即発!
カチ合う寸前ですれ違った、恐ろしい形相の両者でしたが、本当のバトルはこの後始まったのです。
だだおしの鬼の後ろには、それぞれ数人の男衆が付き、巨大な大松明を肩に抱えてます。
青と緑の鬼がすれ違った瞬間、それぞれの鬼の後ろで巨大な炎を燻(くゆ)らしていた二本の大松明同志が、「バチッ!!」という音を立てながら激突!
ぶわっと火の粉が乱れ飛び、炎の熱気が観客の周りを包みます。
この迫力こそが、奈良の二大火祭りの由縁なんだな、と感心したのです。