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新型コロナウイルスによる波紋

2020-04-12 21:53:14 | マスメディア
 中国の武漢から広がった新型コロナウイルスによって、世界がこれほどの影響を受けるとはほとんどの人は想像できなかっただろう。この世は何が起きるかわからない、と改めて思う。生物兵器を作ろうと努力を重ねてきた国々はこのコロナ禍を見て「よし、もっと強力なものを作ろう」と強く励まされたに違いない。将来、世界が滅びるとすれば、それはよく言われたように核ではなく、強力すぎるウィルスによることになるかもしれない。

 こういう時期の政治家はお気の毒である。前例のない事態を迎えると対応のマニュアルがない。役人の得意な前例踏襲が役に立たなくなるわけで、自分の頭で考えなければならない。習っていない問題を解けと言われたようなものだ。政治家は現状把握能力、先見性など、真価を問われることになる。コロナの感染が拡大してきても桜の会やモリカケを重視していたセンセイ方は…言うまでもないだろう。

 安倍首相の緊急事態宣言は危機感がよく伝わり、説得力があった。大阪の吉村知事、小池都知事もよく熱意が伝わる会見であった。ただ小池都知事には何かしらパーフォーマンスが感じられたのは、中国に防護服10万枚寄贈など先見性に問題があったためかもしれない。それらに対して、わが京都の西脇知事、門川市長はいささか精彩を欠く。せめて危急時には原稿を淡々と読むスタイルを改めてもらいたいと思う。それでは危機感がよく伝わらない。言葉で人を動かすのが政治家という商売なのだが。

 韓国の新興宗教、新天地イエス教会では大規模な集団感染が発生した。感染が自分の教会だけで起きたものではないと見せかけるため、感染者を他宗の教会に潜入させ感染を謀ろうとした凄い教会である。他国でも教会やモスク(イスラム教の礼拝堂)は感染の温床となった。どうやら信者たちに対して神のご加護はなかったらしい。14世紀、ヨーロッパではペストに襲われ、人口の3分の1が失われるという事態となったが、当時、強大な力をもっていたキリスト教会はペストに対して無力であり、そのために教会の力が低下して社会変動が起きたという。中世の人々でさえ、神の無力を知ったわけだが、現代の新天地イエス教会などの信者はどうなのだろう。興味をそそられる問題である。

 日本は中国から年間約44億枚のマスクを輸入してきたが、現在は週に1000万枚程度(年率で5億枚)に過ぎないとされる。中国は日本企業のマスク生産分も含め日本への輸出を停止させ、余ったマスクを困っているヨーロッパ諸国などへ売りつけているという。フランスにはマスク10億枚の輸出にファーウェイの通信システムの購入を条件としているという。日本は当初、中国へマスクや防護服を寄贈したのに、である。一方、台湾は日本に無償でマスクを寄贈するという。これに安倍首相が感謝の意を表すと中国が抗議してきた。どちらもマスク外交と言われるが、中身はいささか異なる。

 また、ロシア、カンボジア、カザフスタンなど11の食糧輸出国が、自国への供給を優先するため輸出規制を行っているそうだ。この動きがどこまで広がるかわからないが、真っ先に影響を受けるのは食料を輸入に頼る貧しい国々である。今後の広がり次第では日本の食糧輸入も影響を受ける恐れがある。なにしろカロリーベースの食料自給率が世界最低レベル、40%に達しない国なのだから。

 好ましいこともある。新型コロナウイルスは日本の安全保障を考えさせるきっかけになった。安全保障は軍事面だけではない。食料安全保障、エネルギー安全保障も国の存立にかかわる重大事であるが、メディアにはその認識がまったく足りないように思う。目先のことばかり追いかけているとそうなるのだろうけど。


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