噛みつき評論 ブログ版

マスメディア批評を中心にしたページです。  姉妹ページ 『噛みつき評論』 もどうぞ(左下のBOOKMARKから)。

右翼というレッテル

2018-03-04 22:18:29 | マスメディア
 リンゴやバナナ、机や椅子などの名前にはその定義に争いがほとんどない。対象物が明確だからである。しかし右翼や左翼などの名前はそう簡単ではない。対象となるものは複雑、多面的だからである。一方、正確ではなくとも、その言葉の持つ一般的なイメージというものもある。だからある人々、あるいは団体に右翼とか左翼とかと呼ぶことには慎重さが要求される。一旦レッテルが貼られると、そのレッテルが持つ固有のイメージが定着し、実際との乖離が起きることは珍しくない。大事なことは正確な理解や評価が損なわれることである。たかが名前ではないのである。

 百田直樹氏、櫻井よしこ氏、青山繁晴氏らはしばしば右翼と呼ばれる。彼らに限らず左翼に反対するだけの人も右翼と呼ばれることがある。元来、右翼とは議会で議長席から右方を占めた保守派を指すそうである。しかし右翼と言えば日の丸を掲げ、軍歌などを大音量で流しながら街宣車を走らせる光景を思い浮かべる方が多いと思う。また戦争好き、国粋主義、ファシズムを想起する方もおられるだろう。どちらにしてもあまりいいイメージではない。

 しかし百田氏らは明らかにそれらとは違う。ネトウヨ(語感がよくないですね)と呼ばれるネット上で騒ぐ連中も上記の右翼とは違う。ドイツやフランスでは移民受け入れの拒否、ないし制限を掲げる政党が進出しているが、メディアはこれらを極右政党と呼ぶ。これもファシズムを思い出させる言葉であり、適切な言葉とは思えない。

 戦後の長い間、左翼は知識層が中心で右翼はアホが多いと一般に信じられてきた。そのイメージはかなりはっきりしたもので、今も中高年層には強く残っていると思う。学者・文化人などが共産主義を信奉したのが一因であろうが、その共産主義の信頼が失われた現在、騙されていたのは学者・文化人の方であることが明らかになっている。

 というわけで現在、国粋主義者やファシストでもないのに右翼呼ばわりすることは不正確であるばかりか、蔑(さげす)みの意味を持たせることになる。ひどい蔑称であるが、これは恐らく意図的なものだろう。しかし左翼批判しただけで右翼呼ばわりするのは悪質なレッテル貼りであろう。こんなレッテルを貼られた者の言葉に耳を傾けようとする人はいなくなるだろう。

 9条があれば平和が保たれるという妄想をしつこく信じているのは老文化人を主とする左翼だが、彼らは批判されて当然であると思う。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」は目指すべき理想としてはよいが、それを現実と捉えれば妄想となる。実現したいのなら日本政府ではなく、軍備を増強している中国や北朝鮮に対して軍備を止めるよう呼びかけるのが筋である。

 宗教的信念や特定の思想信条に影響された認識は客観性を欠くのが常である。百田氏や櫻井氏らの主張の方がより客観性があり現実的だと思う。左翼はインテリ、右翼はアホという古い分類はもう逆転していると言ってよい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿