4月24日の朝日新聞朝刊は1面でBSE問題を大きく煽る一方、35面では食の安全への不安を訴える声やスーパーの販売中止などと共に、冷静な対応を求める識者の意見を小さく載せています。BSEの危険を大きく報じながら冷静を求めるのは矛盾しています。本音で冷静を求めるのなら大きく報道しなければよいのです。
朝日、毎日、読売、日経の各社は一斉にこのBSE問題を社説で取り上げています。読売は比較的冷静で、朝日・毎日は検査体制への非難が目立ちますが、そろって社説に取り上げるのは各社ともBSEを危険で重大な問題と認識しているからでしょう。
今回紛れ込んだ背骨付きの高級ステーキ用肉は米国では普通に売られているが、日本の基準は世界一厳しく、リスクをとことん減らそうという考えに立っているのだから、それは理由にならないというわけです(朝日)。
その朝日には田辺功編集委員によるBSE問題についての優れた記事(2月4日)があります。以前にも紹介しましたが一部を要約します。
『BSEのために日本人が変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)を発病する確率は無視できる程度(*1)であるにもかかわらず実施された世界に類のない全頭検査は「消費者の不安解消」を掲げる議員らの声に押されて始まった。
国際獣疫事務局が定めるBSE対策の基準は危険部位の除去とピッシングの禁止などで、検査はふくんでいない。日米間の輸入再開議論がかみ合わなったのは日本が世界の標準とは異なる考え方をしていたからである。(ピッシングとは死ぬ時の痙攣を防ぐためロッドを頭から脊椎に通すこと。病原体が他の部位に拡散する危険性が指摘されている。日本ではまだ多く行われている)』
(*1 発病の確率については安井至氏のBSEを巡ってメディアとの対話も参考になります)
つまりメディアによって作られた「消費者の不安」を解消するために、必要性の不明な全頭検査を多額の税金を使って実施していながら、必要性の高いピッシング禁止を放置しているというわけです。
朝日新聞は、日本人がvCJDを発病する確率は無視できることを田辺編集委員の記事で知り得たはずですが、今回なぜか煽動的なトップ記事にしているのは理解に苦しむところです。
合理性から離れ、完璧なほどの安全性を求める日本の消費者の特殊事情を、読売を除く3社は無批判に受入れ、当然の条件としていることが残念です。消費者が過度の不安をもつという特殊事情はメディアが作り上げたものにもかかわらずです。
脊柱の入った問題の1箱は米ナショナルビーフ社加州工場が昨年8月に出荷し、日本国内の倉庫に保管されていた700箱の中から見つかりました。残りの699箱には問題はなかったが、廃棄処分となったそうです。同社の加州工場製の他の国内在庫はどうなるか、気になるところです。
世界的に深刻な食糧不足の地域がある中で、不安解消という「気分」のための大量廃棄をやっていればそのうちにバチが当たるような気がします。
新聞社様に消費者の不安を解消してやろうという親切心がおありなら、vCJD発病のリスクは無視できるレベルであるということを是非とも消費者にお伝えしていただきたいと思います。おっと、その前に、十分な見識を身につけていただく必要がありますけれど。
朝日、毎日、読売、日経の各社は一斉にこのBSE問題を社説で取り上げています。読売は比較的冷静で、朝日・毎日は検査体制への非難が目立ちますが、そろって社説に取り上げるのは各社ともBSEを危険で重大な問題と認識しているからでしょう。
今回紛れ込んだ背骨付きの高級ステーキ用肉は米国では普通に売られているが、日本の基準は世界一厳しく、リスクをとことん減らそうという考えに立っているのだから、それは理由にならないというわけです(朝日)。
その朝日には田辺功編集委員によるBSE問題についての優れた記事(2月4日)があります。以前にも紹介しましたが一部を要約します。
『BSEのために日本人が変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)を発病する確率は無視できる程度(*1)であるにもかかわらず実施された世界に類のない全頭検査は「消費者の不安解消」を掲げる議員らの声に押されて始まった。
国際獣疫事務局が定めるBSE対策の基準は危険部位の除去とピッシングの禁止などで、検査はふくんでいない。日米間の輸入再開議論がかみ合わなったのは日本が世界の標準とは異なる考え方をしていたからである。(ピッシングとは死ぬ時の痙攣を防ぐためロッドを頭から脊椎に通すこと。病原体が他の部位に拡散する危険性が指摘されている。日本ではまだ多く行われている)』
(*1 発病の確率については安井至氏のBSEを巡ってメディアとの対話も参考になります)
つまりメディアによって作られた「消費者の不安」を解消するために、必要性の不明な全頭検査を多額の税金を使って実施していながら、必要性の高いピッシング禁止を放置しているというわけです。
朝日新聞は、日本人がvCJDを発病する確率は無視できることを田辺編集委員の記事で知り得たはずですが、今回なぜか煽動的なトップ記事にしているのは理解に苦しむところです。
合理性から離れ、完璧なほどの安全性を求める日本の消費者の特殊事情を、読売を除く3社は無批判に受入れ、当然の条件としていることが残念です。消費者が過度の不安をもつという特殊事情はメディアが作り上げたものにもかかわらずです。
脊柱の入った問題の1箱は米ナショナルビーフ社加州工場が昨年8月に出荷し、日本国内の倉庫に保管されていた700箱の中から見つかりました。残りの699箱には問題はなかったが、廃棄処分となったそうです。同社の加州工場製の他の国内在庫はどうなるか、気になるところです。
世界的に深刻な食糧不足の地域がある中で、不安解消という「気分」のための大量廃棄をやっていればそのうちにバチが当たるような気がします。
新聞社様に消費者の不安を解消してやろうという親切心がおありなら、vCJD発病のリスクは無視できるレベルであるということを是非とも消費者にお伝えしていただきたいと思います。おっと、その前に、十分な見識を身につけていただく必要がありますけれど。
それも人件費、一部の輸送費、その他の雑費を除いても、これだけ費用が掛かっているのです。この金額で何ができるのでしょうか。少子高齢化の是正を求め、子育て支援として”祝い金”一人当たり40万円を支給することができます。安全性を求めることも重要ですが、機会費用の面も十分考慮しなければなりません。こうした事例では、誰か(国民)が損をし、誰か(主に農水省)が得をします。これでは、官僚利権の拡大に繋げているだけです。
本来、マスメディアの役割は、稚拙なアメリカ批判を繰り返すことではなく、こうした事実を世間に知らせ、国民に警告を発することに存在意義があります。
メディアの主張する、「米国産牛肉は危険であり、安全な国産牛肉を食べよう!」という掛け声には、信憑性に欠けます。
2001年度のEU委員会の発表では、米国産牛肉の危険度レベル(四段階の評価であり、レベルが高いほど危険)が「2」であり、なんと日本の国産牛肉の危険度レベルは「3」であるとのことです。あろうことか、日本政府がEUに、発表を延期するように圧力すらかけています。
>世界的に深刻な食糧不足の地域がある中で、不安解消という「気分」のための大量廃棄をやっていればそのうちにバチが当たるような気がします。
学童施設に廃棄処分となった食料を届ける、ボランティア活動に参加したことがあります。私が印象に残ったのが、食品に何の落ち度もなく、包装としての役目、ダンボールにちょっとした傷があるだけで廃棄処分となってしまう残飯が、大量に処分されていることです。馬鹿馬鹿しさに呆れてしまいました。
私は、大学の掲示板の伝を通して参加しました。機会がありましたら、是非参加してみることをオススメします。
メディアのバカ騒ぎをしたので、農水相がそれにつけ込み、国民の不安を解消するという大義名分のもとで、省益や業者の利益を図ったということですね。
ダイオキシン騒ぎでは都市ゴミ焼却炉メーカーに数千億円の特需が発生しました。
いつもご感想をお寄せいただき、ありがとうございます。