噛みつき評論 ブログ版

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他人を判断する基準

2009-11-03 10:37:59 | Weblog
 「最速のインディアン」という映画があります。ニュージーランドの片田舎に住む初老の男(アンソニー・ホプキンス)がバイクのスピード記録を立てるために年代物のバイクと共にアメリカへの旅をするという、実話を元にしたお話です。貧しい旅の途中で出会う多くの人々に助けられてようやくレース場にたどりつくのですが・・・。

 登場人物が一癖も二癖もある、ややこしい人間ばかりという映画もまた面白いのですが、この映画はまるで逆で、登場人物の誰もがさりげない親切心を持ったごく普通の人達です。ホプキンスの演技も素晴らしいのですが、この映画のよく出来たところは「心暖まる」系でありながら偽善臭や不自然さが感じられないところです。

 おそらく、この映画の登場人物には制作者の心情が投影されているのでしょう。つまり、制作者は自分の心情を基準にして登場人物を作り出しているという推定することが出来ます(もっとも自分の心とは似ても似つかぬ理想を作っているのかもしれませんが、それはまあ措きます)。

 我々はしばしば他人の気持ちや考え方を推測する必要に迫られます。ある条件下で相手がどう行動するかを推測するとき、たいていは自分ならどうするだろうかと考えます。意識的でなくても、自分の考え方を基準にして、相手の思考や行動を推測していると思います。

 例えば、素直で邪心のない人は他人はみんな善人だと考えるでしょう。逆に邪心豊富の人は世には悪人が多いと考えるかもしれません。むろん、騙された経験など、学習によっても悪人が多いと判断することもあるので一概には言えません。

 他人を判断する基準が自分の心であるならば、ある人の人間や社会に対する考え方を知ることは、その人の内面を知る手がかりになることがあると考えてもよいでしょう。たいていの人は腹の中が黒いと考える人は、もしかするとその人の心が反映されているのかも知れません。


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