噛みつき評論 ブログ版

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崇拝もされた国連、いまは中国の影響下に

2020-02-09 22:54:40 | マスメディア
 第二次世界大戦で、もう戦争は懲り懲りと思った国々によって設立された国連は理想を実現する国際機関として大きく期待された。戦後の日本メディアでも国連を崇める気分が強く、国連のいうことなら何でも正しいと考えるような風潮があった。国連中心主義と言われた小沢一郎氏はその代表であろう。そしていまだに変わらない人々も存在する。

 と、まあ期待された国連であるが、現実はとうてい期待通りだとは言えないのはご承知の通りである。安全保障理事会に於ける常任理事国の拒否権の問題などで実効性のある行動がとれないのである。1994年、ルワンダで起きた約100万人と言われる大虐殺に対してもほぼ無力であった。

 さてその国連のWHOであるが新型コロナウイルスの問題ではあまりにもひどい中国寄りの姿勢が問題化している。しかし国内でその点を強く批判しているのは、私の知る限り、テドロス局長を更迭せよと社説で主張した産経と習近平との関係を指摘したニューズウィークくらいである。

 そのWHOの執行理事会で、在ジュネーブ政府代表部の岡庭健大使が6日、新型コロナウイルスへの対応を巡り、WHOから排除されている台湾を念頭に「特定の地域がオブザーバーとしての参加さえ認められないことによる、地理的な空白を生み出すべきではない」と発言したことに対し、中国代表は「強烈に不満だ」と応じたそうである。前回の記事で指摘した、テドロス事務局長が「中国への渡航や交易の制限を勧告しない、と発言したのと同様、台湾排除は中国への配慮であろう。

 WHOは世界保健機関であり特定の地域を優遇したり、除外する立場ではない。WHOは中国の影響下にある思われるが、それにしても中国のなりふり構わぬやり方は目に余る。台湾に感染が及んで死者が出ることより、台湾を中国の一部だとする政治的形式を優先するやり方には、異質なものを感じる。米国の署名サイト「Change.org」にはテドロス事務局長の辞任を求める署名が7日時点で30万を超えたという。このような動きは日本国内ではあまり見られない。日本の、国連に甘い報道を反映したものであろう。あるいは、それは中国への忖度かもしれないが。

 ニューズウィークの記事のタイトルは
「習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす」
というもので少々過激だが、それだけ危機感があるようだ。記事を一部引用する。

「1月28日付の新華網は習近平と会談したテドロスが概ね以下のように述べたと伝えている。
『中国政府が打ち出している政治的決心は尊敬に値する。習近平自身が自ら率先して予防対策と治療に関する指揮を行い、国を挙げて全力を注いでいるその姿は絶賛に値する。中国人民を守るだけでなく世界人民をも守ろうとするその姿勢に、WHO事務局長として感謝する』
 この日同時に、国連のグテーレス事務総長が「ほぼ同じ言葉」を用いて、中国を絶賛したのは注目に値する」

 前事務総長の潘基文の後任者としてグテーレスを次期事務総長に押し上げるべく水面下で活発に活動したのも習近平政権だと言われている。既に中国はテーレス事務総長をも影響下に置いているようなのだ。覇権を目指し、あらゆる手段を用いて膨張する中国。チベットやウィグル統治に見られるように異質な価値観を持つ国だけに恐ろしい。国連はもはや理想とは程遠い、中国の協力機関となっている現実を知る必要があろう。


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