噛みつき評論 ブログ版

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党首として沖縄訪問は子供の理屈

2010-05-27 10:01:39 | Weblog
 抑止力に関する自らの「無学」が招いた結果とは言え、鳩山首相は基地移設問題で激しく燃え上がった沖縄住民の反応によってはなはだ困難な状況に陥っています。その最中、閣僚である福島大臣が沖縄訪問して、まだ火勢が足りぬとばかり「火をつけて回って」いらっしゃるそうです。これは基地の辺野古移設を決めた政府の足を引っ張ることであり、閣僚としての鳩山内閣への背信行為です。

 社民党党首として沖縄を訪問したので問題ないというのが福島党首のご主張のようですが、小学生の理屈のようで、どうもこれが納得できません。ひとつの人格を党首と閣僚という二つに都合よく「分割」できるものでしょうか。

 この場合、党首としての職務を優先すれば閣僚としての職務を損なうことになります。逆も同様です。二つの職務の要請が相反する状態、つまり利益相反ということになるわけです。原発を推進する立場で仕事をしている人間が原発反対運動にやってきて「今日は市民運動家として参加します」と言っているようなものです。A社の役員が競合関係にあるB社の役員を兼ねるようなものと言ってもよいでしょう。利益相反行為は一定の範囲内のものは不法であるとされ、法による規制対象にもなっています。

 閣僚が内閣に背く行為をする場合は、閣僚を辞してからするのがあたりまえのやり方です。鳩山首相もずいぶん甘く見られたものです。そして、それに呼応するかのように鳩山首相は福島党首のご期待に十分お応えになっています。

 福島氏の背信行為に対して鳩山首相は不快感を示しながらも「私としては、党首としての発言はわかります」と理解を示しています。公然と内閣の足を引っ張る行為に対してこの寛容さはちょっと理解できません。党首の立場であろうが、内閣の仕事を妨害する人間はクビにするのが普通の社会のやり方です。

 正々堂々と背信行為を働く閣僚、それに対しクビも切らず、逆に理解を示す首相、範となるべき政治のトップレベルでこのような異様なモラルの有り様を見せられるといささか不安になります。「友愛」あるいは「みんななかよく」なのでしょうけれど、どこかで見かけた「鳩山幼稚園」という言葉が浮かびました。


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2 コメント

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Unknown (フラット)
2010-05-27 17:31:09
連立当初の三党合意に「沖縄に負担をかけない」というのがあって、それに沿った発言だと瑞穂さんはおっしゃっておりました。対して辺野古周辺への基地移転はそれに当たらないとの由起夫の発言。どちらかと言えば由起夫のほうに無理があるように思えます。

どんな屁理屈こねたところで沖縄県内への基地移転は発言によって生じる責務の不履行ですよね。由起夫はこれまでも「党としての公約ではない」とか「発言はしたが公約ではない」とか詭弁を弄してきました。しかし党の代表であり、国政のトップである以上その発言には相応の責任が生じるのは当然と思います。

そもそも首相は自衛隊の最高指揮者です。軍事に通じていない人材が就いてよい職ではないはずです。これまでも防衛大の卒業式典で自衛官のやる気を根こそぎにするような発言をしてみたり、左官クラスの隊内発言にたいする懲戒処分を下したりと、国防にまるで興味がないかのような振る舞いが散見される体でした。
そんな人物が同盟国の戦略視点を無視して「腹案」とかのたまって右往左往する様は喜劇以外のなにものでもありません。

って、この件の趣旨に沿っていませんね。失礼しました。
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Unknown (okada)
2010-05-28 10:44:17
顔はおっさんでも中身は子供のようなひとが目立ちますね。
オバマ大統領やクリントン国務長官だけでなく、近隣諸国の首相なども立派に見えて仕方がありません。
冗談ですが、高額の報酬でも出して、有能な人物に首相を任せた方が上手くいくかもしれません。ゴーン氏のように。
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