噛みつき評論 ブログ版

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朝日の雑誌、抗菌印刷に・・・知性を疑う

2007-06-06 14:29:45 | Weblog
 6/2の日経によると、コクヨの子会社が製造したデスクマットの抗菌剤が原因で、使用者にアレルギー性皮膚炎が多発し、4人が入院したそうだ。

 マットに抗菌剤は無用だと思うが、背景には抗菌加工ものを好む消費者、さらにはその風潮を作り出したマスメディアの知性の低さが浮かんでくる。自らもその風潮に染まってしまった朝日新聞の例がある。

 2/19の朝日新聞によると、アエラと週刊朝日の表紙と裏表紙は抗菌加工されるそうだ。雑誌では国内初だと自慢しているが、誰もそんなバカなことをしなかっただけだろう。

 店頭の雑誌に触れて、病気に感染することが現実に起こり得るだろうか。説明を求めたい。日本人の清潔志向は世界一だと言われているが、その傾向に拍車をかけることを憂慮する。極端な清潔志向は意味がないばかりか、弊害も大きい。

 朝日の狙いは販売増であろうが、その効果が出れば、やがて他社も採用せざるを得なくなるだろう。結局、意味のないコストを読者が払うことになる。抗菌剤は銀を使うものが多いが、資源の浪費にもなる。さらに天下の朝日新聞が抗菌加工を実施したとなれば、抗菌加工の必要性が認められたと誤解する読者が多数発生する。抗菌加工のないものに触れると病気が移ると理解する人も出てくるだろう。極端な人々は常にいるものだ。

 さらに電車のつり革、切符の検札、店頭販売商品など、他人の手が触れるものすべてを抗菌加工すべきだということになるだろう。握手はどうする? 手を抗菌加工するか。

 抗菌加工は菌の増殖を抑制するもので死滅させるものではない。抗菌加工されていても、汚染された後、短時間の内に触れれば生きた菌を手につけることになり、あまり意味がない。

 極端な清潔志向は非合理なもので、ほぼ迷信と言ってよい。清潔な環境で育てられると免疫機構の正常な発達が阻害されるという指摘もある(藤田紘一郎氏)。清潔とアレルギー性疾患との関係を疑う研究もある(日経サイエンス05/5月号 清潔社会の落とし穴 細菌の減少がアレルギーを招く 崩れる現代人の免疫バランス)。

 「知性のかたまり」である朝日新聞が、非合理な迷信を販売促進に利用し、さらにはその迷信を助長する行為を率先して実行することを、我々はどう理解すればよいのだろう。これでは「痴性のかたまり」ではないか。・・・朝日ファンには申し訳ないが。


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