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小沢政治への不安

2009-10-29 08:19:49 | Weblog
 行政刷新会議が設置した事業仕分けチームが発足してまもなく、つまづきました。各紙の論評はいろいろありますが、右寄りのメディアのものが面白いのでご紹介します。

 ○政府が党に断りもなくメンバーを決めたことに小沢幹事長が立腹。
 ○平野官房長官は小沢氏に「申し訳ない」と謝った。
 ○小さなつまずきから「党高政低」「政府にも小沢支配」が透けて見える。
   (10/27よみうり寸評)

 ○いまの民主党で人事カードを切っているのは、党代表である鳩山由紀夫首相ではなく、小沢一郎幹事長である。
 ○小沢氏の人事権は、党と国会ばかりでなく政府にも及んでいる。
   (10/27産経抄)

 また文芸春秋11月号の立花隆氏の『小沢一郎「新闇将軍」の研究』という記事には、小沢グループは150名を超え、来年の参院選後の新人を加えると200人は確実、場合によっては300人を超えるかもしれないとし、気味が悪いことが起こりつつあると思っている、と書かれています。

 「小沢がヒトラーのような人物というわけではない(略)が、あのナチスが国政選挙を通じて、大量の議席を獲得して、合法的に1930年代のドイツを一挙に作りかえようとしはじめ、それを大衆が熱狂的に支持しているところを見たときに一部の人々が感じたであろうような、なんともいえない居心地の悪さ、不快感を感じている」とも記されています。

 一方、民主党は自党の議員立法の原則禁止、官僚の答弁禁止、官僚の記者会見禁止と、次々と政策を打ち出しています。議員立法の禁止は議員の活動を制限するものですが、いずれも政府以外からの情報を遮断するという側面を持っており、情報を一元化して雑音を抑えようとする意図が感じられます。

 与党の代表質問廃止の理由として民主党は政府・与党の一元化を挙げていますが、これは行政府と立法府の一元化を意味するもので、三権分立を弱体化するものではないでしょうか。菅直人氏の「国会は立法機関というが、それより大事なことは、内閣総理大臣を選ぶことだ。三権分立とは、憲法のどこにも書いていない」という発言とも符合します。もともと議院内閣制では行政府と立法府の明確な分離は無理でしょうけど、三権分立をこうも明確に否定されるとちょっと不気味です・・・背後に小沢氏の影が見えるだけに。

 立花氏も指摘されていますが、最大勢力である小沢グループが民主党を支配し、民主党が政府を支配するという構造ができつつあるように思います。しかも小沢グループは新人が多く、その新人達は小沢チルドレンと言われるように小沢氏の元で「育成」され、強力な管理下におかれます。

 与党の代表質問廃止や官僚の答弁禁止には社民党が反対しています。「反対」が板についた社民党ですが、こればかりは大変まともに思えます。もっとも民主党に権力が集中すれば社民党の存在価値が危うくなるという懸念があるのかもしれません。

 権力の集中化が水面下で静かに進んでいると思うのは杞憂でしょうか。

 権力の集中は独裁体制へつながり、それは政治の効率化という良い点もあります。しかしナチスを持ち出すまでもなく、日本の過去の暴走を考えると、少々効率は悪くても議論百出の政治の方がより安心できるように思います。


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2 コメント

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Unknown (okada)
2009-10-30 08:46:45
小沢氏の政治的な色合いはなかなか見えてきません。そこが不気味な点でもあるのですが。
しかし権力の集中を図っていると思うのは他にも理由があります。小選挙区制、これから実行しようとしている衆院比例区の定数削減も多数党に有利に働きます。
党が立法と行政を支配することになると、三権分立は事実上、崩れます。

小沢氏がヒトラーになるとは思いませんが、権力集中のシステムが出来上がることに注意する観点も必要かと思います。
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Unknown (フラット)
2009-10-29 22:30:46
ナチスは左系でしたね。民主党も正味左系ですが小沢氏はどうなんでしょうね。元々保守本流でしたし。

彼がある種一貫した主義者であるのは間違いないところだと思いますが(政治主導とか)、独裁を標榜しているかというと……

んー、杞憂ですよ、多分。
皇家さえ護持しているならば大概なんでもアリです。アタシ的には。

アンチ民主党ではありますが。
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