噛みつき評論 ブログ版

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日本はなぜワクチン後進国になったか

2021-02-05 16:53:59 | マスメディア
 現在、世界の先進国ばかりか、中国、ロシア、インドまでが国産ワクチンを実用化している。残念なことに先進国、わが日本は実用化された国産ワクチンを作れないばかりか、輸入ワクチンの承認さえ済んでいない。ワクチン接種がもっとも進んでいるイスラエルとは対極にある。幸運にも今回の新型コロナでは、日本は感染率、死亡率とも欧米諸国に比べ大幅に低く、ワクチン遅れの影響は少ない。とはいえ、遅れによって生じる感染者・死者は少なくないし、経済的な損失も莫大である。さらに将来、もっと毒性の強いウイルスが流行した場合、遅れは国に致命的な結果をもたらす可能性がある。

 先進国の日本でワクチンの実用化が遅れているのは、ウィルス研究が生物兵器につながるために抑えられてきたという見方がある。事実かどうか、私にはわからない。しかし昨年日本学術会議が問題になったとき、北海道大学での研究、船が進むときの水の抵抗を微細な泡を使って減少させるという研究が軍事転用の可能性があるとの理由で日本学術会議の圧力で阻止されたことが明らかになったことを考えると、あり得る話に見える。船の抵抗低減の研究よりウイルス研究の方がずっと軍事転用の価値がありそうだからだ。日本学術会議などがウイルス研究を抑えてきたかどうか、調査が行われることを期待したい。

 もう一つの問題は、前にも触れたがワクチン承認までの時間の長さと、感染防止のための私権制限の困難さである。もし、もっと強い感染力と毒性をもった病原菌が広まった場合、対応はスピードの勝負になる。ローマの共和制は約500年続いた。元老院、執政官、民会による政治体制である。これは現代の民主制と同じく決定には時間がかかるので、戦争や疫病などの非常時には不利に働くため、任期6ヵ月の独裁官が選ばれた。独裁官には優越的な権限が与えられ、迅速な対応を可能にした。紀元前のこととはいえ、このような仕組みが500年も続いたことには学ぶべきこともあろう。

 現在の国々は独裁官制度を持たないが(近隣にもずっと独裁体制の国はある)、ほとんどの国がもっていると言われるのが緊急事態法である。戦争や疫病などのとき、国会の議論や立法措置など、悠長なことをやっていたら破滅するから、政府に強い権限を与えるわけである。緊急事態法の必要性は明らかだと思うが、日本にそれがない理由は反対、左派メディアの反対が多いからである。緊急事態法を作れば政府は勝手に緊急事態を宣言して乱用するというわけである。自分たちが選挙で選んだ政府をここまで信用できないとは悲しいことである。性悪説を信じる人間が揃っているのだろうか。人は自分の心を見て性悪説か性善説を決めると思う。

 日本学術会議が軍事転用を過剰に心配して日本の産業を歪めるのも同じく、自国政府に対する不信から来るのだろう。とすると中国には科学者の派遣など中国の科学に協力していたのは中国政府を信用していたことになる。膨張を続ける中国政府を信用するのも不思議なことである。ともあれ、今回の新型コロナは安全保障を考えるよい機会である。