噛みつき評論 ブログ版

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党内融和が最優先・・・政治は二の次?

2011-09-01 09:43:11 | マスメディア
 野田新首相の飾り気のない演説が(意外にも)評価されたこともあったのでしょう、多くのメディアは中立~好意的な記事を載せていました(産経を除く)。新しい首相の発足時はいつも好意的な態度が目立ちます。そのため、支持率は発足時にピークをつけ、後は下がる一方という経過をたどるのが恒例です。

 それはともかく、輿石東参院議員会長は幹事長を引き受けた理由を聞かれ、次のように答えたそうです。
「それは、ただ1つ。党内融和に全力を尽くす、その1点だと思います」
党をまとめることは幹事長のみならず、民主党全体にとっても全力を尽くすべき最優先の課題であろうと思います。とすると民主党の力は党内融和に注がれ、政治は二の次、つまり片手間仕事ということにならないでしょうか。

 政党とは同じ志向を持つ者が集まったもので、その方向性が安定してこそ政権を託すことができます。瑣末な部分で意見が異なることは仕方がありませんが、基本的な部分で意見対立があれば、本来の意味での政党とは言えません。二つに分かれ、支持を求めるのがまともなやり方です。

 新首相がどじょうなら、民主党は舵(かじ)の壊れた船です。乗客をすべて乗せて出航し、いまから舵の修理に頑張ってみます、と言っている状態です。どじょう船長の思い通りに舵が動くようになるか、やってみなければわからないというところでしょうか。乗せられた乗客はいい迷惑です。

 もともと民主党は保守から左派までの幅広い層の寄せ集めとされています。そのためか、いまだに党の基本方針を定める綱領がありません。民主党は政治的な志を同じくする者の集まりというより、党の組織を足がかりに権力を勝ち取ろうという人間の集まりという性格が強いように思います。「私も含めてセンターフォワードになりたい人がいっぱいいます」という新首相の言葉はそれを表しています。

 政治的な志よりも権力欲の強い人間の集まりだとすると、ひとつにまとまるのは至難です。まとまることの必要性は十分わかっている筈なのに、まとまることができないのはその証と言えるでしょう。ことは民主党の基本的な成り立ちに関わる問題であるだけに深刻です。

 政党が内部でまとまらないということは政党の体をなさず、政党にとって致命的なことです。一閣僚が違法献金を受け取ったことなど、それに比べれば些細なことです。しかし、事務所経費の僅かな使途不明金などを連日トップで扱ったように、メディアの評価は逆さまに見えます。