噛みつき評論 ブログ版

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朝日新聞の転向?

2010-01-21 10:28:56 | Weblog
 21日の朝日新聞社会面には「小沢金脈」「支配の手綱 政党交付金」「忠誠心把握 刃向かえば奪う」と、厳しい小沢批判の見出しが並ぶ特集記事が掲載されました。内容は過去の事実が中心で既に雑誌などで明らかになったものも含まれます。つまり新聞社が既に知っていたものを集め解説したもので、朝日の意向を示すものです。

 これまで朝日新聞は民主党には優しい報道姿勢を続けてきました。社説では厳しい「正論」を述べても、一面や社会面にインパクトのある記事を載せることは避けてきた印象があります。変わったのは石川議員らの逮捕後くらいからで、この「小沢金脈」記事は小沢批判を鮮明にしたものであり、私には「転向」の証と見えます(もっとも「水に落ちた犬は打て」という伝統的な社風のためであるという見方を全く否定できるわけではありませんが)。

 3名の逮捕後、民主党支持率と内閣支持率は急落しましたが、民主党の中ではそれを「不当な検察」とマスコミ報道のせいだとする見方がありました。「闘ってください」という首相の言葉のように、検察に圧力をかけようという動きさえありました。

 官僚主導を排し、すべてを政治主導にするという考えには官僚を自分達の思うままに動かせるという思い上がりがあるのでしょうか。選挙で選ばれたものがすべてを支配するという怖い考えです。既に管直人副首相は三権分立を明確に否定していますが、小沢氏の目指すところは党によるより完全な支配であるという気がします。

 民主党を応援してきた朝日新聞も17日の社説で「首相も党も一丸の異様」としたように、小沢氏が支配する民主党の危険性に気づいたのかもしれません。

 朝日新聞社が1月16、17日に実施した全国世論調査の結果によると、鳩山内閣の支持率は12月の48%から42%に急落したとされています。しかし、無党派層では支持20%、不支持54%となっており、不支持が支持を3倍近くも上回っています。したがって6ポイントの低下は主に無党派層によるものだと考えられます(かなり大雑把ですが)。

 無党派層というのはどの政党にも好意や思い入れをもっていない層だと考えられます。そのため判断に感情が入りにくいわけですから、その判断は比較的冷静なものと思われます。従ってその数値は重要です。

 逆に、民主党支持層の支持率低下は比較的限られたものと思われます。これは判断に何らかのバイアス(偏り)が存在することを示しています。変化への硬直性とも理解できるでしょう。それは恐らく「好み」によるものが大きいものと思われます。一旦、好きになると「あばたもえくぼ」となるように。

 恐らく、メディアも「好み」と無縁ではいられないでしょう。「小沢金脈」記事は朝日新聞がとうとう好きな民主党を嫌い始めたことを示しているような気がします。朝日新聞が冷静な無党派の立場になることを歓迎したいですが、たいていの組織は一枚岩でなく、楽観はできません。