静聴雨読

歴史文化を読み解く

「事業仕分け」と「シーリング」・2

2009-12-18 06:13:18 | 社会斜め読み
これまでの予算策定では、初めに、「シーリング」という作業があった。毎年、夏の終わるころまでに、次年度の歳入見通し、重点政策の予算見通し、国債発行計画などを総合的に勘案しながら、各省庁の予算要求額の上限を決めるという重要なプロセスだ。この「シーリング」が決まれば、後の細部は財務省の主計官と各省庁との折衝に任せることができる。(そこに、自民党の「族議員」の横槍が入る、というのはあるにはあったが。)

「政権交代」が起こり、民主党中心の内閣ができたら、予算策定で「シーリング」を行わないことになったという。その理由は、「シーリング」は財務省主導で、「政治主導」を謳う政府には馴染まないというのだ。

そうであれば、「政治主導」で「シーリング」を行えばいいのではないか? 政府内には、「国家戦略室」なるものができ、この国をどのような方向に導くべきか、そのために必要な施策は何か、その財源はどう捻出するか、などについて立案するのがその役目ではなかったか? そのような侃々諤々の議論を経て、中長期的政策と短期的政策が生まれてくるのだろう。「シーリング」とは、短期的政策を次年度にどのように反映させるかという作業に他ならない。

生まれたばかりの民主党中心の内閣に多くを望みすぎるのは難しいかもしれない。しかし、少なくとも、次々年度の予算策定にあたっては、「国家戦略室」で国家ビジョンの議論を大いにしていただき、その結果を「シーリング」という形で次々年度予算に反映していただきたい。  (2009/12)