アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ文化普及啓発セミナー受講報告

2008-09-04 19:41:31 | インポート
8月28日(木)と29日(金)は今年度のアイヌ文化普及啓発セミナー(アイヌ文化振興・研究推進機構)後期講演の二つを受講してきました。

一日目は「東京・イチャルパへの道-開拓使仮学校附属北海道土人教育所について-」。
長谷川修(レラの会会長)さんのお話でした。
重みのある言葉であり、事柄であり、多くを考えさせられました。
意思と反して北海道を出なければならなかったご自身の思いと、「開拓使仮学校」に行かされた生徒達との思いが重なり、あれは「留学」ではなく「連行」だったのだと考えるようになった、と。

この「連行」された生徒38名の内、5名が病気などで命を落とします。
頂いた資料の年表を見ると、アイヌのこどもたちが東京に向けてすでに出発しているのに、アイヌ女子の東京府女学校への受け入れを東京府に掛け合うという事務的手続きを後からはじめたり(それも東京府から断られている!)、仮学校でのアイヌ教育を行なう旨の届出をひと月も後に政府に出したり、なんだか見切り発車というのか、まず先にアイヌ学生達をあわてて連れて行った(手続きは後回し)感がぬぐえません。このような状態も強制「連行」といわれる所以でしょうか。

北海道外に住むアイヌは忘れ去られる危惧をいつも持っている。だから、忘れられないように今回もいち早く、アイヌを日本の先住民族として認めるよう政府に要請する署名を集めたし※、有識者懇談会に向けて要望書も出した、と長谷川さんは語りました。

※(今も継続中=先住民族として認められたものの中身が伴っていないので、内実伴うよう願いを込めて署名を継続中。署名の08年4月9日blog参照。署名してくださる方はororon@jade.plala.or.jpまでDMください!)


二日目は「国連の「先住民族権利宣言」とアイヌ民族」と題して、阿部一司(社団法人北海道ウタリ協会副理事長)さんのお話。
重要な部分を当日配布された資料から引用させて戴きます。

アイヌ民族の要求は明確である。1984年北海道ウタリ協会は、6項目の「アイヌ新法案」をまとめ、北海道知事に要請した。北海道知事によって要請された「北海道ウタリ問題懇話会」は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドを視察、調査をして「アイヌ民族に関する新法問題について」という報告書をまとめ、1988年、政府に提出している。
このたびの国連の権利宣言の採択を受けて、わが国における先住民族施策実施のため早急に、国の担当省庁、窓口を決めること。常設の審議機関を国に設置すること。「先住民族の国際10年」の行動計画に言われている、トライパータイト・コミッテイ(先住民族・政府。国連機関による国内3者機関)の早期開催を、強く求めるものである。(「今後の課題」より)


一年期限つきの「有識者懇談会」で、しかもアイヌ民族はたったの1名というものではなく、
時間をかけて審議する審議機関、そして国とアイヌ民族との接点となる窓口の開設等の要求です。
国として当然、設けるべきことだとわたしも思い、願います。

明日はアイヌ民族委員会・アイヌ民族情報センタースタッフ会合同委員会で、札幌です。




北大キャンパスに実っていた「シケレペ」と思っていたが、どうも山葡萄のようです。ハイ


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