アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「埋蔵文化財」遺骨返還訴訟 原告代表 清水裕二さんの意見陳述

2018-04-11 09:25:27 | 日記

昨日の4月10日午後2時より、札幌地裁701号室において、「埋蔵文化財」遺骨返還訴訟の公判があり、小川隆吉エカシをお乗せして傍聴してきました。*訴訟名称はこのブログで説明しやすいようにと勝手に付けています。

今回は、「コタンの会」代表であり、今訴訟の原告である清水裕二さんの意見陳述がありました。近く、「コタンの会」HPで全文が公開されると思いますが、ここで簡単に紹介させて頂きます。

清水さんは、「北海道」命名150年のお祝いムードに対し、アイヌにとって
は「負の歴史時代・負の歴史遺産満席の時代」であったと批判することから始められました。

そして、過日に鑑賞された映画「サーミの血」(2016年ノルウェ)を「硬直しつつ」観た、と証言。その理由は正に、ご自身が1950年代に同じ体験をしたからだと。具体的に「コンパ
ス状の測定器具によって頭蓋骨全体を縦横無尽に測定する生体測定・身体測定及
び身体表面の観察調査、さらに採血された」と、屈辱的なお話をされました。これはご自身が通われていた静内の小学校でアイヌのこどもだけが受けさせられたものだった、と。

このような検査は道内のいたるところであったことは想像できます。2017/04/20記事においても故萱野茂さんの著書『アイヌの碑』(1989年 朝日新聞社)の一節を紹介した通り、二風谷では研究の名のもとに民具の横取り、血液採取、身体検査、写真撮影、ご遺骨の盗掘が行われたとの証言が書かれています。それは過去のことではなく、近年、旭川において血液採集があったことを旭川のアイヌ民族の方から伺ったことがあります。このような人権侵害が今なお「学問」の名の下で過去の謝罪もなく正当化されている現状があります。これを放置していいわけがありません。

清水さんは、これらの研究に対して批判し、さらに今回の裁判に対し、

①明治以降にも
アイヌ墓地から発掘した人骨の調査研究を行った。

②
遺族など当事者の許可もなくDNA検査の人類研究を実施された。

③
遺骨に対する権限・権利もない北海道アイヌ協会が係わっている事は極
めて責任は重大だ。

と指摘し、検査を行った研究者・札医大そして北海道アイヌ協会は、謝罪して直ちに遺骨を返還するべきだと意見を述べられました。


被告の札医大、北海道側は、遺骨がどこに帰属するか(「文化財」なのかどうか)の調査中で、結果が5月末になるということ。

次回、公判は5月14日、次々回は6月8日、いずれも午後2時より。支援傍聴をお願いします。

 

なお、「コタンの会」では、

「上映×朗読×講演会〜新ひだか町から持ち去られたアイヌの遺骨について知る、感じる、考える。」を以下の通り、開催。

と き 2018年4月22日(日曜)13時〜15時30分

ところ 新ひだか町地域交流センター ピュアプラザ2階

1 講演「新ひだか町でのアイヌ遺骨持ち去りの背景と今後」 講師/植木哲也・苫小牧駒澤大学教授

2 朗読「痛みのペンリウク 囚われたアイヌ人骨」 おはなし/土橋芳美(著者) 朗読/嘉藤師穂子

3 藤野知明監督作品「八十五年ぶりの帰還 アイヌ遺骨杵臼コタンへ」

資料代 300円

主催 コタンの会 問い合わせ 電話090ー9517ー4351(清水さん)

 詳しくはこちらを参考ください。

 

映画「サーミの血」公式サイト 個人的にDVDを予約しました(6/6発売)。

映画「サーミの血」予告編

 

昨日の留萌の朝は冬に逆戻り。


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