アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

報告書の実現をすすめたい、と

2009-10-03 13:52:26 | インポート
しばらくぶりに活動日誌を再開します。
この間、8日間の台湾原住民族の出会いの旅に出かけたり、道内のアイヌ民族関連のイヴェントであったりと動いていました。台湾の報告などもまたUPします。
10月は少し落ち着いて資料や諸書をじっくり読みたいと願っています。が、どうなるでしょう。


あらためて、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(以下、有識者懇)がまとめた報告書を7月29日に国に提出したあたりの新聞記事を読み直しました。


毎日新聞がいちばんわたしの知りたい事を書いているので引用します。

アイヌ:内閣官房に担当室設置へ
(毎日新聞 2009年7月29日 最終更新 7月29日 23時05分) 
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長・佐藤幸治京都大名誉教授)は29日、河村建夫官房長官に報告書を提出した。アイヌを「先住民族」と認定したうえで、政策を確実に推進していくための新たな立法措置を求めた。根強い偏見や差別をなくすため学校教育の充実、生活・教育格差を解消する支援策も盛り込んでいる。河村官房長官は「苦難の歴史を厳粛に受け止め、報告書の各事項の実現を進めたい」と述べ、内閣官房にアイヌ担当室を設置し秋にも審議機関をスタートする意向を示した。
http://mainichi.jp/photo/news/20090730k0000m010151000c.html


ここには、政府(官房長官)は「報告書」をしっかり受け取り、「報告書の各事項の実現を進めたい」とコメントしています。さらに政府が「アイヌ担当室を設置し」、「審議機関をスタートする意向を示した」と加えています。
国が有識者懇の報告書にどう対処するか心配していましたが、これらの記事によると、国はそのままで受け取り、実現のために政策を進めたいと言っているのですね。なにか公式の文章が出るものだと思っていましたが、この報道だけなのですね。


具体的なこととして政府は8月12日に窓口を作り、秋に審議機関を発足させるとのこと。以下、引用

アイヌ総合政策室設置 政府省庁間の調整窓口に (北海道新聞08/13 06:33)
 政府は12日、アイヌ政策を一元的に総合調整する初の窓口機関として「アイヌ総合政策室」を内閣官房に設置した。政府が今秋にも発足させる新たなアイヌ政策審議機関の事務局を担当し、政策推進のかじ取り役を担う。
 アイヌ政策については、これまで国土交通省や文部科学省など複数の省庁が担当。政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長・佐藤幸治京大名誉教授)が7月29日にまとめた報告書でも「国として政策全般を見渡せていない」として、窓口機関の設置を強く求めていた。
 初代室長には、懇談会の事務局「アイヌ政策推進室」=8月12日付で廃止=で室長を務めた秋山和美・国土交通省北海道局審議官(内閣官房審議官併任)を起用。秋山室長を含む政策推進室担当の14人全員が総合政策室に移り、今後、必要に応じて増員も検討する。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/182470.html



また、国は8月6日に中学校の歴史・公民の教科書でアイヌ民族の歴史や文化などに関連する記述を拡充するよう関係出版社に求めたり(朝日新聞8月7日)、法務省は8月28日、2010年度予算の概算要求を発表し、新規で「アイヌ問題に関する人権啓発活動費」として1千万円を計上し、広報資料の作成やインターネットのバナー広告を掲載すると報道(北海道新聞8/29)。
さらに、国土交通省北海道局は31日、10年度北海道開発予算の概算要求の中で新たにアイヌ民族の伝統文化の普及・啓発へ向けた調査費(2100万円)を盛り込んだ(毎日新聞9月1日)、
等々、具体的に指示や予算化されて実動態勢に入っているようです。


道としては、第3回定例道議会に提案する本年度一般会計補正予算案に、国が胆振管内白老町と日高管内平取町で整備を進めているアイヌ民族の伝統的生活空間「イオル」内で行う、アイヌ文化を発信するための事業に計2億円を計上(北海道新聞9/9)。
あるいは、高橋はるみ知事は7月30日の記者会見で、道内に住むアイヌ民族の子供に対する学業支援のうち、現在実施している大学・短大などへの修学資金の貸付制度を、助成制度に見直す考えを示唆(朝日新聞7月31日)するなどの動きもあります。

アイヌ政策推進室の具体的な動きがウェブ上で見る事が出来たらうれしいですね。あるのでしょうか?探してみましょう。



秋が深まってきました