アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「アイヌの権利を審議する有識者懇談会」へ期待

2008-05-22 15:57:07 | インポート

朝のニュースチェックをしていたら、今日もアイヌ関連がヒットしました。
毎日新聞の「アイヌ決議案:アイヌは先住民族 決議案、今国会提出目指す 議連」(5月22日)です。
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20080522hog00m040004000c.html

連日、伝えられていますが、本日、北海道ウタリ協会が衆参両院へ請願書を出します(街頭でも先住民族アイヌとしてのアピールをするなど、今日は注目しています)。

この日を前に、昨日、超党派の道内選出国会議員らで作る議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(代表世話人=今津寛・自民党道連会長)が、世話人会を開き、23日に開催する全体会でアイヌを先住民族と認める国会決議案をまとめることを決めたというのです。
この決議案では、アイヌの先住民族認定だけではなくアイヌの権利を審議する有識者懇談会を政府に設置を求めることなども検討課題としているようです。大変、重要なことです。

23日に開催する全体会で了承されれば、今国会での決議案提出を目指し、各党の承認の手続きに入る方針。



さて、1997年に「アイヌ文化振興法」が制定されますが、その際、政府は「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」を設置しました。その辺りのことをまとめてみますと・・・、

‘84年7月、北海道ウタリ協会は差別と貧困の抜本的解決のため、アイヌ民族自から法律案を作り、北海道知事および、北海道議会に陳述しました(いわゆる「アイヌ新法」という)。
それを受け、‘88年に北海道、北海道議会および北海道ウタリ協会の三者により「アイヌ民族に関する法律」の制定について国に要望がだされます。
国は‘95年7年3月に「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」(内閣官房長官の私的懇談会)を設置し、同懇談会は翌年に報告書を提出。

アイヌ民族に関する法律はここにあります 
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/8729/ainu.html

その翌年5月に、「アイヌ関連施策関係省庁連絡会議」を設置し、懇談会報告書に基づく立法措置を含む新たな施策の実現に向けた検討実施が確認され、‘97年5月に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(いわゆる「アイヌ文化振興法」)が公布され、7月1日に施行されます。
ウタリ協会の作成した「アイヌ新法」とはかなりかたちが変えられたものとなりましたが、このことについては違う時に書きます。


「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」報告の一部にこのような文があります。

「アイヌの人々は当時の「和人」との関係において日本列島北部周辺、とりわけ我が国固有の領土である北海道に先住していたことは否定できないと考えられる。」(「アイヌの人々」より)

「我が国におけるアイヌの人々は引き続き民族としての独自性を保っているとみるべきであり、近い将来においてもそれが失われると見通すことはできない。」(「アイヌの人々の民族性」より)


以前にも紹介した文です。先住していた住民だった、ことは認めているのです。
さらに、新しい施策の概要を、4項目あげて提言しています(1.アイヌに関する総合的かつ実践的な研究の推進。2.アイヌ語をも含むアイヌ文化の振興。3.伝統的生活空間の再生。4.理解の促進。)。

いいことが書かれていますが、以下のような、引っかかるところもあります。

「我が国におけるアイヌの人々に係る新たな施策の展開については、我が国の実情にあった判断をしていく必要がある。
その場合、我が国からの分離・独立等政治的地位の決定にかかわる自決権や、北海道の土地、資源等の返還、補償等にかかわる自決権という問題を、我が国におけるアイヌの人々に係る新たな施策の展開の基礎に置くことはできないものと考える。」(「国連等における議論の動向」より)


ここでは「自決権」(自分達で決定する権利)に、条件がつけられているのです!
先住していた住民だけれども、先住民族ではないから、先住民族が保障されている「自決権」はないよ、ということだったのでしょうか。この度の動きで、アイヌ民族は先住民族であることが認められた後、「自決権」はどうなるのでしょう。認めつつ進めていってもらいたいものです。
「先住民族アイヌ」が認められた後、「アイヌの権利を審議する有識者懇談会」を作って、この「条件付自決権」を含めてしっかりと話し合ってもらいたいです。



24日は午前11時から旭川の嵐山(アイヌ文化の森伝承のコタン)にて、カムイ・ノミが行なわれます。最後にはみんなで輪になって踊ります!

嵐山には旭川市博物館分館もあり、杉村キナラブックさんの資料なども展示されています。
地図も以下のURLに書かれていますから、どうぞ。
http://www.pref.hokkaido.jp/kseikatu/ks-bsbsk/bunkashigen/parts/4508.html




明日行なわれる北大アイヌ・先住民研究センター講演のチラシ
なかなかおしゃれなチラシです。センター専従のYさん。なかなかやるね~
酒井さんかっこいいですね。