アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

先住民族の権利

2008-05-17 15:19:09 | インポート
昨日は北海道ウタリ協会の総会を傍聴しました。
北海道新聞をはじめ、各紙に記事が載っていますのでごらんください。
事前の報道には今総会にて名称を「アイヌ協会」へと変更するかのようなニュアンスに聞こえていましたが、総会ではこの一年をかけて名称を変えるべく話し合い、次年度総会にて名称変更することが話されました。

「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(代表・今津寛自民党道連会長)について一昨日は調べましたが、日が立つにつれて情報も多くなり、さらに、昨日のウタリ協会総会資料に、アイヌ民族の皆さんの政府への働きかけについて詳しい資料が掲載されていました。
それによると、国連先住民族宣言が出る前から、アイヌ民族の皆さんらは何度も国会議員のところに足を運び要望を続けていたのです。すごい回数です。

さて、しつこいようですが、日本政府はアイヌ民族を先住民族として認めていません。
国連先住民族宣言が可決された後の鳩山由紀夫(民主)の質問に対し、福田首相は
「御指摘の宣言には先住民族を定義づける記述はなく、アイヌの人々が同宣言に言う先住民族であるかについては結論を下せる状況にはございません。なお、政府としては、アイヌの人々が固有の文化を発展させてきた民族であるということは認識しており、文化振興等に関する施策を引き続き推進してまいります。」
と答え、その後の答弁でも同じ言葉を繰り返すのみでした。
 第168回 衆議院本会議録 第4号(10月3日)より
 (http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm)

ところが、G8洞爺湖サミットが日本を議長国として開催されるにあたり、「真の先進国たるためにも政府自らが一日も早くアイヌ民族が先住民族であるとの認知を行い、サミットの場においてもG8首脳にホスト国としての声明を発することが我が国の利益に適う」との考えで超党派で「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が設立され、今国会期中にアイヌ民族が先住民族であるという「声明」を出そうと言うのです。
(今津ひろしURL http://hiroshi-i.net/2008/03/313_1.html)

昨日のウタリ総会には鈴木宗男(新党大地 衆議院議員)もかけつけ、今国会最終日の6月13日までに、必ず決議をすると熱弁。

政府によってアイヌ民族が先住民族として認められたら、アイヌ民族は国連先住民族宣言(以下、「宣言」)で述べられている「先住民族」に該当するということであり、当たり前のことですが「宣言」に述べられている権利に関してもアイヌ民族は該当するということです。
全46条からなる「宣言」は国家が補償するべき先住民族の権利を幅広く規定しています。
外務省のURLに「宣言」仮訳全訳が掲載されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/udhr/1b_001.html

その中には以下の権利についても述べられています。これからおいおい紹介していきます。
第3条 自決(自分達のことを自分達で決める)の権利
第11条 歴史的な場所、加工品、文様、儀式、技術、演芸などの維持と保護。
第14条 自らの言語で教育を受ける権利、
第26条 伝統的な生活にかかせない土地や領域、資源を使用・発展、管理する権利


それらの権利をどう位置づけて実践へとうつすかも、今後の大きな課題でしょう。
それと、昨日の総会でも質問が出ていましたが、アイヌ民族とは誰か、も考えていかないといけませんね。ある民族は八分の一までを先住民族と認めているそうです。たとえばわたしの父がアイヌで母は和人とすると、わたしは二分の一(二分の一というよりダブルだと思うのですが、その議論は置いておいて・・・)。わたしのこどもは四分の一、孫が八分の一ですから、孫までが先住民族として認められるということです。

さらに加えて、過去の謝罪と共に、過去に権利侵害をしたことの調査窓口も。


英語本文(国連URL)
http://www.un.org/esa/socdev/unpfii/en/drip.html
日本語訳はわたしの手元に北海道ウタリ協会日本語仮訳‘07年11月14日があるので、参照させて頂いています。(‘94年のはインターネット上にありますが、これは国連人権小員会にて1994年に採択された「草案」です。国連総会で決議されたものとどう違うのかもいづれ報告したいと思います)