野口雨情の「雨降りお月さん」の切々たる心情の吐露は日本人の魂の故郷、心の原郷だ。古（いにしえ）の先人の想いの丈を見事に謳い挙げている。コトコトと馬に揺れながら嫁いでいく花嫁！ その姿！うら若き乙女心の心情が痛い程、良く分かる。親子、肉親の元を離れ他所に嫁いでいく大和撫子の切々たる心境は寂しさを乗り越えて嫁ぎ先へと思いを馳せる心の原風景だ。昔の風情が、ありありと蘇り思い浮かべられて懐かしい。心の襞（ひだ）に刻まれた日本人の純粋な魂の叫びが、そこに有り観えてくる。乙女心の純粋な心情の発露である。・・・
・・・《雨降りお月さん》・・・文部省 唱歌
「雨降りお月さん雲の陰 お嫁にゆくときゃ 誰とゆく ひとりで
からかさ さしてゆく からかさないときゃ 誰とゆく
シャラシャラ シャンシャン 鈴付けた お馬にゆられて 濡れてゆく」
「いそがにゃお馬よ 夜が明けよ 手綱の下から ちょいと見たりゃ
お袖でお顔を 隠くしてる お袖は濡れても 干しゃ乾く
雨降り お月さん 雲の蔭 お馬にゆられて 濡れてゆく」
※備考：如何がでしょうか。各自、思い思いに鑑賞しては、どうでしょうか。