明日、麻生首相の「所信表明演説」が行われる。闘争心剥き出しの麻生
氏らしい所信となる予測が立つ。党人事も組閣人事も地味で麻生首相本人を
際立たせる配置である。それは国民的麻生人気で乗り切ろうとする目論みであ
る。吉と出るか凶と出るか一大賭けに出る。私の予測では裏目に出る可能性
が大きい。直近の世論調査でも50%を割る低落ぶりである。地道に政策遂行
を積み重ねれば支持率も上向きになるとの目論みだが簡単には そうはならな
い。喧嘩好きのキャラで大衆受けする秋葉原サブカルチャーの大御所だが、有
権者全体を俯瞰すると国民は“政策と人物”で選ぶ。総理になってほしい方で
は小沢氏と麻生氏では麻生氏が大きく水をあけているが、それが即、票に結び
つくとは限らない。逆に全国各紙の世論調査では総じて次期政権を担ってほし
い政党は民主党が自民党を上回っている。・・・麻生首相の民主党批判の第一
声は「政局が第一で国民生活は第二、第三」と決めつけ攻勢をか掛ける(明日
の所信表明演説で明らかになる)。第二声は ねじれ国会 で喫緊の問題も決ま
らない、とその矛先を“ガソリンの暫定税率”維持を含む“租税特別措置法”の
是非で民主党を批判する。持論の経済対策は当面は景気浮揚を最優先する
考えを展開する。現状の日本経済の緊急課題は景気対策であるとの論を展開
する。その為には先に決めた“総合経済対策”を実施する「08年度 補正予算
案」の早期成立を訴える。民主党も、それには前向きである。麻生経済対策構
想の第一段階が“景気対策”、第二段階が“経済成長”(中長期改革)、第三段
階が“財政再建”で3年間で達成するとしている。011年までのプライマリーバ
ランスの黒字化は<堅持する様、努力する>と表明する。“支援新法”(若者の
自立を促す)や“道州制”も視野に入れて打ち出す。対外的には「日米同盟」を
基軸とした更なる強化を打ち出し、それと対比して小沢氏の持論「国連中心主
義」を批判する段取りである。連動してインド洋での給油補給の継続で国際貢
献の在り方を迫り テロとの闘いから日本が撤退するのか、と民主党に対応を
迫る。総じて言える事は闘争心剥き出しの麻生流で小沢氏を遣り込める事で
自民党の政権担当能力を再確認させる事で迫る。・・・以下に“所信表明”演説
の骨子を挙げる。・・・
●麻生首相“所信表明演説”骨子
□011年までのプライマリーバランスの黒字化の努力
□後期高齢者医療制度の見直しの必要改革検討
□民主党の国会戦術批判
□民主党への“08年補正予算案”の賛否質問
□民主党に消費者庁創設への対応を質問
※総じて言える事は上記の政策課題や指摘が具体性に欠ける事である。民主
党の政権担当能力の無さを衝きイメージダウンを狙うが裏目に出る可能性が
ある。
●民主党への質問
△補正予算への対応
△地方道路財源を補填する法案の賛否
△消費者庁創設への賛否
△日米同盟と国連の優劣
△インド洋での給油活動への見解
麻生政権与党が逆に野党に質問する構図は、追い詰めて自民党の政策の有
利性を際立たせ様とする狙いだが果たしてそうなるだろうか?・・・麻生首相は
民主党の標語「政治とは国民の生活を守るためにある」を引用して挑発する文
言を練っている。一歩、間違えば逆に皮肉な結果となる。仮に衆院解散総選挙
で自公民が過半数を獲得したとしても“ねじれ国会”は変わらない。「民主党
(野党)の協力なくしては一歩も前進しない」。“政策遂行”に支障をきたすのに
違いはない。痛し痒し、の政策運営を強いられる事になる。さて、明日はどうな
るか、注視したい。・・・