JR北海道(札幌市)は来年4月に運賃を値上げすることに踏み切るという。値上げ幅は平均7.6%であり、初乗り運賃が200円から210円になる。
JR北海道は国土交通省に値上げの認可申請をする。そのまま認可されるものとみられる。石油や電気などエネルギー価格や原材料費、人件費が上昇しているので、やむを得ないことである。
JR北海道で働く労働者の待遇を改善しないと、中途退職が高止まりのままとなり、技術継承が行われず、人手不足につながる可能性もある。
北海道は札幌圏を除き、人口減少や少子高齢化が進んでいる。鉄道経営には厳しさを増すこととなるが、訪日外国人客(インバウンド)は急増している。観光需要を取り込むことで、増収の道がないわけではない。主な特急の全車指定席化により、増収となる可能性が高く、経営改善策が有効である。
札幌駅周辺などでの不動産、流通、宿泊などの鉄道事業も重要である。本業の鉄道よりも、大きな黒字を期待でき、現在まで大きな黒字額を計上している。しかし、本業の鉄道事業の赤字解消にはほど遠く、国からの多額の補助金が投入されている。
鉄道事業は札幌圏でしか、大きな黒字は期待できないのが現状である。北海道新幹線は大きな赤字を計上し、年間赤字額は100億円以上である。札幌延伸開業後、黒字になるかどうかも現段階では微妙である。青函トンネルが貨物列車と供用されている区間であり、新幹線は運行本数の制約を受けている。札幌延伸後も大きく運行本数を増やすことに期待はできず、先行きは厳しいといわざるを得ない。