大阪府では今年度から実質的な私立高校の無償化を開始した。同府が負担する私立高校の授業料の負担額には上限があるものの、無償化が実現された。例えば、年間40万円を負担していた授業料が負担ゼロになり、保護者にとっては、かなりの負担軽減となる。
同府では私立高校の無償化の導入により、私立高校を志願する割合が増加傾向である。この影響で公立高校の志願者が減少し、定員割れを起こす高校も出ている。大阪府教育委員会は3年連続で定員割れを起こし、以後の改善が見込めない場合、閉校にする方針を打ち出している。
私立高校の無償化を進めると、私立高校の希望者が増加することで、私学経営の安定度は高まり、収入は増加する。現在ある高校を生かすことで、施設や人材を有効活用することができる。私立高は補助金が投入されているものの、経営の自由度は高く、財産も公的財産ではない。
公立高校は受験者の減少により、定員割れを起こす高校が増加する。これが継続する場合、統廃合の対象となり、公立高を減らすことができる。財産を他に活用することや、教職員を配置転換しつつ、減員することができる。公立高の削減は財政負担の軽減となり、行政経営のスリム化にもつながる。
公立、私立を問わず、検定教科書を使用し、学習指導要領を順守していることで、最低限の教育水準は保障されている。ただし、内容は異なることが多く、卒業後の進路も異なり、義務教育とは大きく異なる。
人口が多く、大企業が集積している自治体では税収が多いことで、弾力的な財政運営が可能となる。自治体の長の取り組み次第では、家計の負担を軽減しつつ、公立高校の適正配置や削減にも取り組むことができる一例である。自治体のトップの意向はいろいろな場面で強く反映されている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます