高度経済成長期からバブル崩壊までは、国内の経済はほぼ右肩上がりであり、小売業やサービス業の大手企業はこぞって全国に店舗網を拡大することで、売上や利益を増大させていった。日本経済もほぼ順調に成長を継続させ、世界に通用する水準となった。また、製造業も世界に通用する水準となり、輸出を拡大することで、外貨を稼ぎ、競争力を高めていった。
しかし、バブル経済の崩壊後、今までのビジネスモデルは転換を余儀なくされる。国内では経済の低迷が続いたことで、大手製造事業者はコストを削減することを目的に、海外へ生産拠点を移転した。この結果、国内産業は空洞化し、リストラを進めつつ、企業は生き残りをかけることなった。
しばらくすると、国内では人口減少に転じ、現在でも続いている。少子化も急速に進み、労働者の人手不足も深刻化しつつある。人口減少は需要減少に直結するので、企業や店舗の売上は減少傾向となる。イトーヨーカドーや西友など全国展開している大手企業でさえ、店舗網を縮小し、コストを削減しつつ、生き残りを図るケースが出ている。
事業を拡大することで、売上は増加しやすくなる。店舗網も同様であるが、拡大には経費も大きくなる。売上と経費をきちんと精査した上で、経営戦略を構築し、企業としては利益最大化を図ることが重要である。
大都市圏での営業展開は人口密度が高く、効率的である。一方、地方では人口密度が低く、集客力も低いことで、簡単には高い売上を稼ぐことはできない。全国展開することで、ブランド力を高めることも重要ではあるが、絶対的とはいえない。地方進出により、大きな赤字が続くようだと、経費負担が大きくなり、会社の経営の足を引っ張ることとなり、ひいては全体で赤字を計上することもある。
例えば、イトーヨーカドーの場合、北海道や東北、北信越から完全撤退することで、店舗網を首都圏に集約化することで、生き残りをかけている。赤字店舗の削減は適切であり、リストラを進めつつ、業務効率を改善することが狙いである。経営には重要であり、縮小することで、経費を大幅に削減となる。
今後、国内では人口減少や少子高齢化が進むことは確実であり、簡単には改善しない。今後、企業や店舗網の削減が進む可能性が高い。逆にこの機会を狙い、買収策を講じることで、事業拡大に舵を切る企業が出始めている。すべて新規で出店するよりも、コストが安価であり、今までのノウハウも内容によっては、継承することも可能である。