熊本市交通局は熊本市電の運行本数を15%減らすダイヤ改正を6月29日に実施した。これにより、平日、電停にたくさんの人が列をつくり、乗り切れない状態である、いわゆる積み残しが発生している。同市電は東京圏並みの朝のラッシュとなっていて、改善が求められる。
同市電は運転手不足であるという。近年、徐々に運転手の人数が減少しているという。非正規採用が少なくないことで、他に待遇のよい仕事を見つけると転職するなど、人材流出も少なくない。正規雇用による一定の待遇で雇用しないと、中長期的に働く人が減少し、安定した運行につながらない可能性もある。
同市では政令市でありながら、路面電車が走っている。公共交通機関である路面電車があることは地元住民はもとより、観光客の利用も少なくない。過度の自動車交通を抑制しつつ、環境負荷軽減にもつながり、脱炭素社会の推進にも貢献している。
市電の運転手を養成するには、8ヶ月程度を要するという。現在、10名ほどが養成期間中であり、来年1月から実際の運転業務を行うこととなる。同交通局は来年4月に元のダイヤに戻す方針であるという。
最近、電車やバスなどの運転手不足がクローズアップされている。ベテラン勢の引退や少子化による若年層の人口減少により、運転手不足が顕著になっている。新型コロナウイルス感染症の沈静化により、経済活動が活発化していることも、運転手不足につながっている。
公営交通であれば、赤字を出しても、安全に安定期な運行を実施することが求められる。採算性よりも交通機関の維持を重視し、人の移動に貢献することが重要である。