長崎大学医学部付属病院は4月1日から病床数を大幅に減らすこととなる。100床単位での削減であり、国立病院において、最近10年でないケースだという。
長崎市は人口約39万人であり、人口減少傾向である。かつて造船業や漁業で栄えたものの、現在では低迷し、観光業にシフトしている。西九州新幹線が開業したものの、武雄温泉までの部分開業であり、博多までの全線開業の目途は立っていないことで、九州最大の都市・福岡市まで行き来するには、乗り換えが生じる。
国立大学病院といえども、人口や患者の減少は病院経営に直結する。患者の減少は診療や薬価収入の減少に直結する。収入の減少は病院を回す上では大きく影響する。一方、人件費や燃料費、物流費、薬剤費などは軒並み上昇していることで、コスト増となっている。近年の物価高の影響もあり、支出はどうしても増加傾向である。
病床数を減らすことで、病床稼働率を高め、コスト削減を図ることとなる。大学病院は通常の診療だけではなく、研究や実験なども行っているので、必ずしも経営だけを重視するわけにはいかない。国からの手厚い交付金は不可欠であり、地域における先進医療や三次救急、検査態勢の充実など、民間病院では必ずしも担えない機能を有している。
大学病院はどこもそうであるが、地域から絶大な支持を得ている。特に国立大学病院は顕著であり、地元行政も絶大な支援や協力をすることで、全面支援している。地域にとっても、なくてはならない重要な病院であり、住民の健康や医療、福祉の充実に多大な貢献をしている。
大学病院では患者がたくさん受診する傾向にあり、原則として診療所等からの紹介状が必要となっている。やむを得ず、直接大学病院を受診する場合、高い初診料が徴収されることとなる。大病院への患者集中を抑制することで、患者の待ち時間を短縮しつつ、スムーズな診療を進めやすい環境を構築することを重視している。
政府は診療報酬や薬価の公定価格を徐々にではあるが、引き下げつつ、社会保障費の抑制を目指している。国の赤字国債は増加の一途をたどり、赤字国債の発行は常態化しているので、やむを得ない面もある。しかし、安定的な医療態勢を構築しつつ、継続的に安心した受診態勢を守り続けるには、政府の歳出を簡単に削減するのは不適当である。
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