1964年10月開業の東海道新幹線の開業を皮切りに、全国で新幹線の整備が進んだ。北は新函館北斗(北海道)から南は鹿児島中央(鹿児島県)まで、全国に広く建設され、国の経済発展に多大な貢献をしている。
一方、国が掲げる整備新幹線において、常に並行在来線問題が焦点になる。新幹線が開業することで、高速移動は新幹線にシフトすることで、並行在来線の利用は通勤通学の比重が高まり、利用者減となることがほとんどである。したがって、JRが新幹線開業後も並行在来線を経営し続けるのは、負担が大きいこともあり、JRが並行在来線を経営分離するかどうかを決めることができる。
新幹線開業後、並行在来線の黒字が期待できない場合、JRから経営分離される。多くは第三セクター経営となるが、群馬・長野県境のように、廃線となっているケースもある。
並行在来線はJRから経営分離され、特急列車がなくなることで、普通列車がほとんどとなり、地域密着のダイヤ編成をしやすくなる。人口集積都市では新駅を設置することで、新たな旅客需要を創出することで、利用者増加につなげることも可能である。
一方、経営的には厳しくなることがほとんどである。高速移動は新幹線にシフトすることで、旅客収入は近中距離区間に限定され、高額運賃での収入は期待できない。JRの経営のときには、赤字経営であっても、首都圏などの旅客収入でカバーできたが、第三セクターではそれができず、原則として自社で対応することが求められる。経営に関する自由度は高まった一方、JR全体での赤字補てんを期待できないというマイナス面がある。
人口減少や少子高齢化の進行、マイカーの普及により、第三セクターの利用者増はほぼ期待できない。商業施設や駅ビルなどの非鉄道事業にはほとんど期待できず、行政からの補助金や税の減免などが経営を支えているといっていいだろう。
JRはすべての並行在来線を経営分離するわけではない。鹿児島線の博多-八代間、川内-鹿児島中央間などは採算性を見込めることで、新幹線開業後もJRがそのまま経営を継続している。北海道新幹線の並行在来線である小樽-札幌間はドル箱路線であることで、JR北海道は新幹線開業後も経営分離しないことを決めている。
今後、地元自治体が新幹線の誘致をする場合、常に並行在来線の問題を考慮する必要がある。採算性が低い場合、JRは経営分離するので、在来線を存続させたいのであれば、地元自治体が対応することが求められる。
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