八咫烏の声

神社の行事、社務などの日記です。

第3回『隈府(熊本県菊池市)』

2010年10月01日 13時05分46秒 | インポート

神無月朔日。

今日から10月です。

いよいよ秋本番ですね。今月から祭事も多くなって参ります。こんにちわI権禰宜です。

さて今回も私の『遠くへ行きたい』です。

今回ご紹介するのは熊本県菊池市の隈府です。

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菊池市は熊本市から車でおよそ1時間。隣の山鹿市と共に熊本県を代表する湯の町です。

どうです。のんびり落ち着いた雰囲気の町だと思いませんか?

しかしこんなのんびりとした風景とは裏腹に、この町はかの有名な南朝の大英雄を輩出しております。

それが今回の主役

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菊池武光とその一族です。

菊池武光は南北朝時代の武将で、征西大将軍として下向した懐良親王を擁し九州に一大勢力を築き上げた名将です。またその一族も征西将軍と武光のもとに一致団結し、全国的に南朝が劣勢になる中で唯一優勢を保ち、南朝勢力による九州統一の偉業を達成しました

現在、『太平記』をはじめとする所謂『南北朝時代物』は、その大半が「鎌倉幕末の動乱」~「湊川の合戦」までしか描かれないため、菊池氏の一般的な知名度は余りありませんが、それこそ戦前は忠義の一族として知らない人はいないといっても差支えが無い英雄的な一族でした。

特に、四面楚歌の中で勇を奮い博多の探題館に攻め入り玉砕した菊池武時(※武時の首塚は福岡市中央区六本松にあり、同城南区七隈の旧県社・菊池神社が胴塚とされています)。その長男で菊池一族の団結を完成させた武重。そして一時は九州を統一するほどの勢いを見せた弟の武光。この親子3人が有名です。

町の名前から分かる様に、ここ『菊池市』の隈府は『菊池氏』の本拠地があった地で、現在、菊池氏が居城した隈府城の跡には菊池一族を祀る旧別格官幣社・『菊池神社』があります。

明治時代、後醍醐天皇建武の新政を顕彰するため全国各地に建武政権に功績のあった人々を祀る神社が続々と創建され、特に吉野に鎮座する『吉野神宮(祭神は後醍醐天皇)』を初めとして官幣の社格に列した十五の神社『建武中興十五社』と呼んでいます。

この隈府の菊池神社は八代に鎮座する『八代宮(祭神は懐良親王・良成親王)』と並んで、九州に二社しかない十五社の一社です。

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主祭神として先ほど名前を挙げた菊池武時・武重・武光の親子を祀っており、その他一族を配祀されています。

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こちらが菊池神社拝殿。旧別格官幣社だけあり立派な風格の拝殿です。御利益は武勇の一族を祀っているだけあり、必勝・武運長久。勝負の神様ですね。

ちなみにこの菊池氏の後裔を称した中に、歴史上とても有名な人がいます。

その人物とは

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西郷どん

西郷さん自身は自分が菊池一族出身だとしていました。その為でしょう。西郷さんの変名は「菊池源吾」。

私が隈府の物産館の中に入った時、お土産物の中に西郷さん関係の物が結構揃っていて、なにやら感慨深かった事を思い出します。

だって熊本の人達は西南戦争で故郷を戦場にした西郷さんと薩軍に良い気持ちを持っていないと思っていましたから。鹿児島ならいざ知らず、まさか熊本県で西郷さんの土産物と出会うとは・・・。尤も、これは菊池市だけかもしれませんけど。その辺りは良く分かりません。熊本の方、ぜひ教えて下さい!

かつて九州全土を従えた菊池氏。その本拠地・隈府は今ではひっそりと湯に浸かる旅人を迎えてくれます。こののんびりとした時間が流れる町が私は大好きです。

I権禰宜


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