日々

穏やかな日々を

夜間低血糖

2011年09月24日 09時06分44秒 | 仕事
第47回 欧州糖尿病学会(EASD2011) 【開催期間:2011年9月12日~16日】

重篤ではない夜間低血糖が患者の日常生活や機能に及ぼす影響は過小評価されている
2011年9月17日  カテゴリ:一般内科疾患・循環器疾患・内分泌・代謝疾患

重篤ではない低血糖は全低血糖イベントの大部分を占め、特に夜間低血糖は患者を不安にさせる重大な要因だが、その実態は十分に検討されていない。そこで米国カリフォルニア州The Brod GroupのM. Brod氏らは、重篤ではない夜間低血糖が糖尿病治療、睡眠の質、患者の機能に及ぼす影響について検討し、その結果を9月12~16日にポルトガル、リスボン市で開催された第47回欧州糖尿病学会(EASD)で報告した。


本研究は3つのデータソースに基づいて実施された。1つはPubMed、CINAHLなどの文献データベースを用いて1995~2010年に報告された英語文献を検索し、その内容を検討した文献レビュー。2つ目はフォーカスグループが米国、英国、フランスの糖尿病患者70例を対象に実施した詳細な定性調査、3つ目は重篤ではない夜間低血糖が患者の日常生活や機能、糖尿病管理に及ぼす影響を調べた大規模インターネット調査である。

文献データベースでは、重篤ではない夜間低血糖が糖尿病患者の日常生活に及ぼす影響を検討した報告は少なく、同定できた文献は32件に留まった。レビューの結果、患者は夜間低血糖を経験した翌日、倦怠感を訴え、仕事を休みがち、約束を忘れがちであり、不安や恐れを感じていることが明らかになった。

フォーカスグループが実施した詳細な定性調査では、夜間低血糖は睡眠の質を低下させ、患者は翌日に頭痛、動作緩慢、倦怠感などを訴えることが多く、仕事の生産性が低下していることが明らかになった。感情面では低血糖自体や、二度と起き上がることが出来ないかもしれないことへの恐れも感じていた。

また、大規模インターネット患者調査では、6,756例の回答のうち、直近の1カ月間に重篤ではない低血糖を経験していたのは2,600例、重篤ではない夜間低血糖を経験していたのは1,086例であった。そのうち血糖自己測定機器を用いて低血糖を確認した患者は1型、2型糖尿病ともに約60%であった。低血糖への対処法として多かったのは、シュガーパック、お菓子やケーキ、甘味飲料、グルコース錠剤、軽食の摂取などの順で、1型と2型糖尿病で違いは認められなかった。

重篤ではない夜間低血糖を経験した翌日には、患者は血糖自己測定を通常よりも1~2回多く実施し、測定頻度の上昇は1週間後まで持続した。また、インスリン使用例のうち1型糖尿病では25.7%、2型糖尿病では18.5%の患者が、重篤ではない夜間低血糖を経験した後にインスリン用量を減量していた。しかし、医療機関を受診したのは、1型糖尿病では18.6%、2型糖尿病では27.8%に過ぎなかった。

重篤ではない夜間低血糖により患者は睡眠の質が低下したと感じており、13%の患者は眠れなくなり、再び眠れるまでに1型糖尿病患者で1.3時間、2型糖尿病患者で1.7時間を要した。翌朝、倦怠感を感じた患者も71.2%にのぼった。さらに就業している患者のうち22.7%が翌日の仕事を遅刻・欠勤し、31.8%は打ち合わせや仕事の約束を忘れてしまい、時間内に仕事を完遂できなかった。

以上の検討からBrod氏は、「重篤ではない夜間低血糖は、糖尿病のタイプにかかわらず、患者の日常生活や仕事の生産性、糖尿病の管理に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった」と結論し、「この重篤でない夜間低血糖の発現を抑えるような治療法の改善や選択が重要」と指摘した。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みんな動け動け! | トップ | タバコとメタボ  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

仕事」カテゴリの最新記事