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人材流出、募る危機感 異例の提言、起爆剤に 国家公務員働き方改革

2022年04月26日 22時12分10秒 | 行政

人材流出、募る危機感 異例の提言、起爆剤に 国家公務員働き方改革

 2022年4月25日 (月)配信共同通信社
 

 内閣人事局と人事院が合同でつくる「未来の公務を考える若手チーム」が、国家公務員の働き方に抜本改革を求める提言を近くとりまとめる。相次ぐ離職者の声から、変わらぬ過酷な職場環境への失望がにじむ。危機感を募らせる人事院トップが「公認」する異例の取り組みで、人材流出が続く霞が関の風土を一新する起爆剤とする狙いだ。

 ▽嘆き

 「うわさに聞くブラックなイメージを、肌感覚では分かっていなかった」。人事院の井上ちかさん(37)は、3年半前に他省庁に出向した。国会答弁の準備をはじめ、多忙を極める毎日に衝撃を受けた。直属の上司は立て続けに2人辞めた。

 疲れ切った同僚が「この状況、人事院でどうにかできないか」と嘆いた。苦笑いするしかなかった。その時のふがいなさが、チームに参加する原動力になった。

 チームは30代前半を中心とした8人。つてをたどって各省庁の離職者から聞き取りを始めると、家庭生活がままならなかったり、妊娠中に残業を強いられたりした体験が次々と明らかに。一方で「仕事にはやりがいを感じていた」と語る人も多かった。メンバーで内閣人事局の山内亮輔さん(31)は「辞める理由が働き方なのはもったいない」と痛感した。

 ▽もの申す

 内閣人事局によると、国家公務員でキャリアと呼ばれる総合職は、2019年度に20代の86人が自己都合で退職。13年度の21人から大幅に増えた。逆に採用試験志望者は12年度の約2万4千人から10年間で3分の2以下に落ち込んだ。

 これを受け、チームを設置したのが昨年6月に就任した人事院の川本裕子総裁だ。働き方改革を最優先課題に位置付け、自由な発想でアイデアを出すようチームに促した。民間での豊富な経験から、部下が上司に「もの申す」という雰囲気が改革の一歩と考えた。

 メンバーは次第に「一直線に出世を目指すキャリア観は時代遅れだ」と言い切り、健康をないがしろにする働き方に憤るようになった。「真面目な官僚っぽさ」が抜け、率直に思いを吐露する姿に、川本氏は手応えを感じている。

 ▽歯車

 ワークライフバランスの観点で企業のコンサルティングを手がける会社の小室淑恵(こむろ・よしえ)社長は、14年に交流サイト(SNS)で呼びかけて国家公務員と働き方改革の勉強会を発足させた先駆者だ。

 「参加が発覚すれば立場が危うくなる時代。隠密行動だった」。出世のためには残業をいとわず、との考えも根強かった。今回も職員全体の理解や協力が欠かせず、提言の実現は見通せない。

 だが、幸福度が下がり続ける職場から良い政策が生まれるはずはない。改革を訴えてきた小室氏は「若手の意欲とトップの指示。歯車がかみ合った状態は今までなかった。いよいよ変わるかもしれない」と期待を寄せる。

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