フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月22日(火) 曇り

2009-09-23 08:39:43 | Weblog

  午前中に原稿を書いて、昼食の後、品川プリンスシネマに『南極料理人』を観に行く。8月にチケットを購入したのだが、原稿やら子雀の世話やらでなかなか観に行くことができず、ここいらで観ておかないとチケットが反故になってしまう。品川プリンスシネマは品川プリンスホテルの一角にある11のスクリーンを有するシネコンで、行くのは今日が初めて。劇場の一つ一つは中規模だが、数が多いから、話題の映画ならたいてい上映中だ。『南極料理人』は私の観た3時20分からの回と6時5分からの回の2回の上映で、そこそこ混んでいた。昭和基地の出張所みたいな南極の高地にある隊員8名のふじ基地が舞台。「究極の単身赴任」というコピーがついているが、周囲にコンビニの1つもない最果ての地で、8名の男たちが始終顔をつきあわせて1年半も生活するというのは、考えただけでゾッとしますね、私は。一応、寝室は個室だが、カプセルホテルなみの狭さ。こういう状況だと、食堂での食事の時間というのが日々の生活の中のアクセントでありハイライトシーンにもなるだろう。ある意味、伊丹十三の『タンポポ』のような料理中心の映画である。たぶん実際のメニューよりも豪華。伊勢海老でエビフライ作っちゃうとか。朝からカニとか。でも、隊員たちが心底喜ぶのはおにぎりだったり、ラーメンだったりする。その気持ちはよくわかる。日本にいる家族や恋人とのエピソードがこの映画のもう一つのポイント。その関係はおしなべてあまり良好とはいえない。だが、良好とはいえなくても、かけがえのない関係であるわけで、「究極の単身赴任」はそのことを改めて意識させる効果がある。1年半の越冬期間を終えての帰国(空港での出迎え)の場面、そして後日談は、なかなかよかった。主演の堺雅人のうっすらとした笑みは弥勒菩薩半伽思惟像のように魅力的だ。

  夜、「キング・オブ・コント2009」を観る。東京03がサンドウィッチマンを振り切って優勝した。東京03に勝たせたいというムードが審査員の間にあったように思うが、コントということを厳密に考えれば妥当な結果だろう。サンドウィッチマンはコントというよりもコント的漫才で、笑いの源はあくまでも言葉のやりとりの面白さにある。サンドウィッチマンがM-1グランプリとの二冠ということになっていたら、キング・オブ・コントの存在意味は薄くなってしまうだろう。
  深夜、来週の大田区男女平等区民会議の資料を作成し、メーリングリストでメンバーに送る。
  明日からは鴨川セミナーハウスで2泊3日のゼミ合宿。フィールドノートの更新はできるかどうかわかりません。


9月21日(月) 曇り

2009-09-22 01:05:26 | Weblog

  母と妻と鶯谷の菩提寺に墓参りに行く。現地で妹夫婦と甥と合流。お参りをすませ、いつもの錦華楼が休みだったので、鶯泉楼という大きな中華レストランで昼食をとる。私はカニ炒飯を注文した。量が多いのに驚いたが、味は薄味で、いまひとつだった。錦華楼の方が安くてうまい。寺の奥さんが言っていたが、錦華楼のカレーライスはとても美味しいのだそうだ。蕎麦屋のカレーライスというのはよく話題になるが、中華料理屋の美味しいカレーライスの話は初めて聞いた。B級グルメの血が騒ぐではないか。今度、トライしてみよう。


鶯谷駅

  夜、『ブザー・ビート』最終回を観る。ケータイというものが登場してから、サスペンスドラマにおける「陸の孤島」モノは作りにくくなった。ケータイで外部との連絡が簡単にとれちゃうからだ。だからいろいろな設定をしてケータイを使えないようにしなくてはならないのだが、どうしても無理矢理感がつきまとう。それと同じようなことは恋愛ドラマにもいえる。「離れ離れの二人」という状況を作りにくい。どんなに空間的に離れていてもケータイでコミュニケーションがとれてしまうからだ。最終回では莉子が軽井沢のホテルに演奏会の練習のための合宿に行っていてしばらく直輝と会えない(それに堪えて頑張る)という設定なのだが、ケータイの問題はどうするのかと思ったら、なんと莉子がケータイを解約してしまうのだ。無理矢理もいいところだ。莉子のケータイは直輝との連絡にだけ使っていたわけではあるまい。たとえば田舎の両親からの連絡はどうするのだ。しかし、ケータイを排除したおかげで、一昔前の恋愛ドラマの雰囲気がますます濃厚になった。莉子は最終回で何回全力で走ったことだろう。私の記憶する限り、恋愛ドラマのヒロインで一番走ったのは『愛していると言ってくれ』の常盤貴子であるが、今日の北川景子はそれに次ぐくらいよく走った。走るという行為はひたむきな思いを表現するのによい方法である。私が出版社に校正済みのゲラを直接出向いて届けるのもその応用である。それはそれとして、最後、代々木の体育館を貸しきっての決勝戦のシーン、バスケットカウントの後のフリースローをする直輝に向って、会場に駆けつけた莉子が「バカヤロー」と叫ぶのは、最初の二人の出会いのシーンを重ねあわせているわけだが、今回はなぜ「バカヤロー」なのかがわからない。無理矢理である。場内がシーンと静まり返るのも、ゴルフのパットの場面じゃないのだから、あんなに静まり返っているのは不自然で、これも無理矢理である。試合終了の直後に直輝が観覧席に行って莉子を抱擁しキスをするのも無理矢理である。失恋した直後の女の子は落としやすいとはよく言われることだが、宇都宮が菜月をデートに誘うのも無理矢理である。最終回だからといって、いいかげんにしろよ、バカヤロー。でも、このくらいコテコテに作ってくれると、かえって気持ちがいい。いろいろ話の種を振りまいてくれてどうもありがとう。唯一、気になるのは、廉と菜月の後輩の女子社員とはちゃんと続いているのかどうかである。その話は12月のスペシャルで・・・ってことはないよね。


9月20日(日) 晴れ

2009-09-21 00:24:10 | Weblog

  7時、起床。アマゾンのマーケットプレイスで購入したヴィヴァルディのピッコロ協奏曲(4曲)のCDをかける。ピッコロの音色は小鳥のさえずりに喩えられるが、確かに子雀もピッコロに親近感をもっているようで、他の楽曲のときよりも、チュンチュンと反応がいい。
  今日は彼岸の入り。妻の実家の墓参りに同行する。横浜の駅前で義母、義姉夫婦と待ち合わせて、タクシー2台に分乗して三ツ沢墓地へ。


一面の墓石

  帰りのタクシーは往きよりも道が混んでいて、いつもなら1000円弱の運賃が15000円かかる。昼食は高島屋8Fの洋食屋でランチのカニクリームコロッケを食べる。美味しかったが、品がいいというか、小ぶりなので、2個じゃなくて(たいていどこのレストランもカニクリームコロッケは2個だが)3個食べたかった。
  蒲田に戻ってから、東急プラザの林フルーツで、葡萄と桃と無花果を購入。会計を待っている間に棚のメロンを眺める。マスクメロンは1個1万円もするが、見かけはそっくりの(瓜二つ、いや、メロン二つ)アールスメロンは2千円弱である。よくよく見ればネットの密度がマスクメロンの方がいくらか細かいようだが、ほとんど変わらない。食べ比べてみると、違いは明らかなのだろうか? 実証主義者としては自分の舌で確認してみたいが、マスクメロンというのは贈答用で(でも私は贈ったことも贈られたこともない)、自分で食べるために購入する人などいるのだろうか。無花果は年に一回くらい食べたくなる。そしていつもがっかりする。子どもの頃、庭に無花果の木があって、十分に熟したヤツを食べていたのだが、それには遠く及ばない。果物屋の店頭に並んでいる無花果は十分に熟す前に収穫しているからである。木に付いたまま十分に熟した無花果の美味しさは食べたことのない人にはわかるまい。

  夜、『官僚たちの夏』の最終回を観る。うら寂しい終り方であった。当初、官僚版プロジェクトXかと思ってみていたが、途中から、日米のいかんともしがたい主従関係の中で悪戦苦闘する人々=日本人の物語になっていったように思う。


9月19日(土) 晴れ

2009-09-20 09:40:17 | Weblog

  7時、起床。卵かけご飯とけんちん汁の朝食。午前中は原稿書きと、非常勤の先生方へのメールを何通か書く。春学期の授業のお礼、来年度の授業時間の問い合わせ、秋学期の初回の授業のご案内、などなど。
  午後、大学へ。今日は大学院の修士課程(博士課程前期)の入試。社会学の受験生は15名。即日採点する。出来不出来がはっきりしている。採点を終えて、教務室へ顔を出す。安藤先生が私の顔を見るなり、「最近、雀を踏み潰す夢を見るんですよ」と言う。そういえば、私も、巨大な雀に安藤先生が踏み潰される夢を見るのである。そのときの安藤先生の断末魔の一言は、「ジ・アンド」というのだ。4時から大学院の社会学コースの教室会議。思いのほか時間がかかった。


馬場下の交差点

  ゼミ生のKさんからメールが届く。専門演習の登録が選外の連続で困っているとのこと。ゼミ生には私の専門演習「ケーススタディの方法」は履修しないようにと言ってあったのだが、定員に余裕があるようなので、ゼミ生にも開放することにして、メールで連絡する。
  机の上に大きな封筒で斜面を作って、子雀を遊ばせる(私が子雀を斜面の上に乗せて、手を離すと、そのままスーッと滑り降りてくるのだ)。小林一茶のような気分がする。


われと来て遊べや親のない雀


9月18日(金) 曇り

2009-09-19 01:39:33 | Weblog

  午前中に出版社にゲラ(再校)を戻しに行く。編集のOさんが「先生、私に近づかないほうがいいです」という。新型インフルの疑いがあるとのこと。おお、それは大変だ。いま私が新型インフルに感染したら、来週のゼミ合宿は中止になってしまう。別室でT社長と今後のスケジュールの打ち合わせ。校正はあと一回(内校)だが、シルバーウィークで印刷所が休みに入ってしまうので、初回の授業には間に合わないが、2回目の授業には間に合わせますとのこと。ホントですか?! 100頁弱のブックレットだからこそできることか。その後は雑談。出版社や印刷所が相次いで倒産しているという話。あの晶文社も、倒産ではないが、文芸部門を廃して実用書一本でいくことになったそうだ。平野甲賀の装丁もなくなってしまうのか。残念だ。先月、植草勘一『ぼくは散歩と雑学がすき』が新装版(大きな判型)で出ていたが、あれを買っておこうかな。
  昼食は出版社の隣のラーメン屋でとる(ワンタンメン)。普段ならば、美術館とか映画館へ足をのばすところだが、原稿のこともあるし、子雀の餌のこともあるし、寄り道をせず蒲田に戻る。東急プラザで十勝おはぎを買って、帰宅してから、『任侠ヘルパー』の最終回(録画)を観ながら食べる。後味のいい最終回だった。黒木メイサがよかった。
   ゼミ生のSさんからメールが届く。おたふく風邪にかかってしまったそうだ。感染症だから合宿は無理だ。幹事のNさんに連絡し、人数の変更の手続きをしてもらう。
  子雀の餌は、粉末に少々の湯を加えて、耳たぶくらいの硬さ(柔らかさ)に練って、それを爪楊枝にきりたんぽのように(あるいはアメリカンドッグのように)刺して、与える。医者はお団子にして与えればいいと言ったが、団子型よりもきりたんぽ型の方が食べやすし、子雀とコミュニケーションもとれる。作りたてが一番美味しいようで、時間がたつと水気がなくなって、パサパサ、ポロポロになったものは喰いが悪い。だから餌はその都度作ってやる。しかし、そのために3時間以上家を留守にすることができない。「任侠ヘルパー」ではないけれど、ケアーって大変なのだ。


きりたんぽ型は私のアイデアです