フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月15日(日) 曇りのち晴れ

2012-09-17 09:52:16 | Weblog

  7時半、起床。朝食の前にブログの更新。

  コロッケパン、トマト、オレンジジュースの朝食。 

   午後、散歩に出る。

  昼食は「天味」で。前回来たのが8月初旬なので、一ヵ月半ぶり。いつもの上天ぷら定食+かき揚(1400円)を注文。今日はキスと穴子がふっくらしていて美味しかった。かき揚丼に行く前に、お好みで牡蠣を揚げてもらおうかどうしようか考えたが、今シーズンはまだ牡蠣フライを食べていないので、その前に牡蠣の天ぷらを食べるというのは順番が違うような気がして、思いととどまる。牡蠣の天ぷらは次回にしよう。


味噌汁の具は蜆

 
最初の海老は塩で。キスは半分塩で、半分天つゆで。


穴子は半分塩で、半分天つゆで。茄子は天つゆで。


二本目の海老も塩で。南瓜は天つゆで。


最後のかき揚はご飯少なめで天丼にしてもらう。これが楽しみ。

   商店街を歩きながら、店のネーミングについて考える。

  「最後の楽園」という名前のたぶん居酒屋と思うが、提灯に、こちらは宣伝文句なのだろう、「第2の我が家」と書いてある。「第1の我が家」の方は荒れ果ててしまったのだろうか。

   店主の名前(苗字)を店名にしている店は個人商店にはよくある。昨日、コロッケとメンチを買った神楽坂の揚げもの屋も「大野屋」といったっけ。苗字だけでなくフルネームを店名にするのは昔はあったが、最近はあまり見かけない。たとえば「鈴木栄太郎商店」とか。こういう場合、最後が「郎」で終わる名前だと座りがいい(かつ三文字ならさらにいい)。「鈴木正一商店」とか「鈴木和夫商店」とかでいまひとつである。店主のフルネームを店名にするケースが減っているのは、「郎」の付く名前の子供が減っていることとも無関係ではあるまい。

  スナックや小料理屋ではマダムや女将さんの名前を店名にするのが定番である。苗字ではなく、下の名前である。客のほとんどは男性だろうから、マダムや女将さんとの間に擬似的な家族関係が形成されるのだろう。そこではマダムや女将さんは「ママ」と呼ばれる。居酒屋などでは、男性の名前が店名になる場合もあるが、「~兵衛」のような前近代的な名前が多いから、必ずしも店主の名前というわけではない。山口瞳の小説で、高倉健主演で映画化もされた『居酒屋兆治』の店主の名前は藤野英治で、兆治ではない。居酒屋の主人は「パパ」ではなく「オヤジさん」と呼ばれるから、擬似家族的関係とはいっても、戦後民主主義的な父子関係ではない。

  「現代」とはずいぶんと社会派というか、ドキュメンタリータッチの店名である。ママさんは全共闘世代で、店内では現代社会の諸問題が熱く語られているのだろうか。下戸の私には足を踏み入れ難い場所である。 

  「麦」。変ったネーミングである。どういう意図をもって付けたのだろう。文学作品では、「麦」の入ったタイトルといえば、『青い麦』(コレット)、『麦と兵隊』(火野葦平)、『ライ麦畑でつかまえて』(サリンジャー)とかが思い浮かぶ。 「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」というキリストの言葉(ヨハネ伝第12章24節)も連想させる。麦は地に足をつけて生きている人間の表象なのだろうか。あれこれ考えてしまうが、案外、ママさんの名前が「麦子」なのかもしれない。

  食後のコーヒーは「ルノアール」で。しばらく読書をしたかったので「ルノアール」にした。「ルノアール」が読書に向いている理由は、

    (1)椅子が硬くない。
    (2)テーブルが広い。
    (3)テーブルとテーブルの間の距離があるので、隣のテーブルの客同士の話し声が気になることが少ない。
    (4)店内が広い(収容量が大きい)ので、長居をしていても迷惑でない。
    (5)二階にあって窓も広いので、店内が明るい。
    (6)コーヒー代が比較的高いので(560円)、「場所代払っている」という意識が生まれ、長居することに抵抗感がない。
    (7)御茶のサービスがあり、お冷もなくなると何も言わなくても新しいものにしてくれる(継ぎ足すのではなく、コップごと)。
    (8)冷房がきつくない。 

  などである。喫茶店の店名はたいてい横文字である。外来種の空間なのだ。われわれは日常の空間からちょっと距離をおきたいときに喫茶店に入るが、非日常的な店名はそれにふさわしい。もし自宅の居間の壁にルノアールの複製画が掛けてあったら、別の喫茶店に行くのではなかろうか。喫茶店は「第2の我が家」とは違うからである。

  

   「ルノアール」で、朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)を読み終える。

  4時頃、散歩から帰宅。「あら、早かったのね」と妻に言われる。

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