昨夜、午前3時に寝たのは、雑用を片付けながら、ときどき一階にいるチャイの様子を見に行ったからである。夜勤の看護師のようである。今朝は6時半に起き、チャイの様子を見に行った。さすがに寝不足で、7時には妻が起きるので、バトンタッチして再び布団にもぐりこむ。結局、起きたのは10時半。妻がチャイを(点滴をしてもらいに)いきつけの動物病院に連れていくときである。
朝食の支度をしているときに妻とチャイが病院から戻ってきた。
チーズトースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
将棋王位戦7番勝負(永瀬九段が藤井王位に挑戦)第一局は二日制で昨日から始まったが、私は見ていなかった。途中で千日手になり、先手後手を入れ替えて、指し直され、先手藤井が4五歩と仕掛けたところで後手永瀬が46手目を封じ手にした。
後手の封じ手は9五歩だった。以下、同歩、6六歩、4四歩、5四角、5六銀と進む。5六銀では6八歩とがっちり受けておく手をAIは最善手としていたが、藤井は5六銀とぶつけて行った。形勢判断はまったくの互角。
ここからの双方の指し手が凄かった。7六銀、同銀にすぐに同角ではなく、4七歩(!)と打った手が鋭い。この金取りの歩打ちを放置して先手の指した2四歩(!)がこれまたすごい。
ブログを更新して、昼食を食べに出るつもりだったが、目が離せなくなってしまった。カップ麺を食べながら観戦。
永瀬が長考に入った、対局中継の音声をオフにして、「サンデー・ソングブック」をタイムフリーで聴く。スライ・ストーン(82歳)の追悼特集。前回のウィリアム・ブライアンも82歳だったな。
永瀬のお八つの注文が紹介されたが、ドリンクの数が尋常ではない。(この他に彼は自前のドリンクを盤側に準備している)。ここから終局までノンストップ(夕食休憩なし)なのでエネルギーチャージということだが、それにしてもすごい。
1時間以上考えた末に、永瀬は4八歩成と金を取った。
先手はすぐに2三歩成ではなく、6五銀と角に当てた。
同角と取らせてから2三歩成、同金に6五銀と角を取った。後手は2四歩と打つ。ここでも先手の次の手をAIは6八歩だったが、藤井は4三銀と打ち込んだ。守備一辺倒の手は藤井の好みではないのだろう。後手はすかさず6七歩成。
藤井は金取を放置して3一角(!)と打ち込む。これは2三角成以下の詰めろになっているので、後手は4二金打ちと自陣を固める。
2三角成、同玉、2五歩、7八と、同玉、2五歩(!)、同桂。後手の2五歩は疑問手で、4三金右(あるいは直)と銀を取っておくべきだったようである。同桂と飛ばれて(3三桂成以下の詰めろ)、かなり危険な状況になった。
ここでAIの示す後手の最善手は6九銀(!)だった。同玉は4七角の王手飛車がある。同飛と取らせることで2筋から飛車をそらし、4七角の飛車取り・銀取り、飛車は2筋には戻れず、6四飛と浮けば5五金がある。しかし、永瀬の指した手は2七歩。形勢は先手優勢に傾いた。
以下、3三桂成、同玉、2七飛、6七銀、7七玉、7六金。8八玉、6六角と進行する。
ここで「夕食の支度ができました」の妻の声。ノートPCを持ちながら移動。
夕食はシシャモ、人参のキンピラ、冷奴と納豆、サラダ、味噌汁、ごはん。
藤井は7七歩と受ける。これでタイミングを見て7六銀と金を取ることができる。
ここで最後のお願いで9六桂と打つ手はあるが(同香なら8七金、同玉、8六歩以下の頓死)、9八玉とかわされて詰まない。これ以上、先手玉に迫る手のない後手は、4三金右、同歩成、同金。同金では同玉の方が粘れたが、永瀬はじたばたすることを選ばなかった。
先手は2四角の王手。
以下、3二玉、2三銀で永瀬は投了した。
すぐに和やかな表情で感想戦が始まるのがこの二人ならではである。これにはいつも感心する。
チャイに少し元気が戻った。私が顔の前に手を差し出すと舌で舐めるのだが、舐め方がしっかりしている。2、3回お付き合い程度に軽く舐めて終わりではなく、ザラザラとした感触がちょっと痛いくらい(猫の下は紙ヤスリ状)強く何度も舐めるのである。自分から二階にチュールをもらいに来た(いつもわれわれが夕食の後にブラッシングをしながらチュールをあげるというルーティンが身についているのである)。こういうささいなところに回復の兆しを見つけるのは嬉しいものである。
風呂から出て、今日の日記を付ける。
1時半、就寝。