フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月19日(金) 晴れ

2021-02-20 13:51:01 | Weblog

8時45分、起床。

トースト、ウィンナー&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

10時半から教授会(オンライン)。

早く終わると予想していた会議は案外長引いた。

昼食を外に食べに出る時間がなくなったので、昨日のブログを書きながら、カップ麺で済ます。

一昨日の夜にアマゾンで注文した本が早くも届いた。

 ソフィ・カル(野崎歓訳)『本当の話』(平凡社)

 「ヴェネチア組曲」、「尾行」、「本当の話」の3作品と、ボードリヤールによる解説(『ヴェネチア組曲』の単行本に付いていたもの)が収められている。なぜ一番の話題作で分量的にも一番長い「ヴェネチア組曲」がタイトルになっていないのかはわからない(出版社の事情なのだろう)。

 「尾行」は私立探偵にある一日の彼女自身を尾行させ(母親を通して依頼した)、探偵からの報告書(写真付)と彼女自身が書いたその日の記録から構成されている。尾行されている人間が尾行されていることを知っており、尾行している人間は「対象者」が尾行されていることを知っているということを知らない。そういう二人による、客観的な記録と主観的な記録の合作。

 「本当の話」は彼女の自伝的エピソード(+再構成されたイメージ写真)集である。たとえば「カミソリの刃」と題されたエピソード。

 「わたしは毎日九時から正午まで、ヌードモデルをしていた。毎日、最前列左端の席に陣取って、延々三時間わたしの体をデッサンする男がいた。正午ちょうどに男はポケットからカミソリの刃を取り出し、わたしをじっと見据えながら、丹念にデッサンを切り裂く。わたしは身動きもできないまま、男の動作を見ていた。やがて男はアトリエを立ち去り、ずたずたにされたわたしの絵が残された。男はそれを十二日間くりかえした。十三日目、わたしはアトリエに行かなかった。」

ポール・オースターの小説『リヴァイアサン』に登場するマリア・ターナーという女性のモデルとなったのがソフィ・カルである。

 「マリアは芸術家だったが、彼女が行なう作業は、ふつうに芸術作品と定義されるような物を作る作業とはおそよかけ離れていた。ある人は彼女を写真家と呼び、ある人はコンセプチュアル・アーティストと呼び、またある人は作家と考えたが、どの描写も正確ではない。結局のところ、こういう芸術家だと、ひとつにくくることのできない存在なのだと思う。そうしてしまうには彼女の作品はあまりに気狂いじみていたし、特定のメディアなり分野なりに属していると考えるには、あまりに特異、あまりに個人的だった。何かアイデアに取り憑かれれば、その制作に取り組み、結果として、ギャラリーで展示できるような具体的成果が生じはする。だがその営みは、芸術作品を作ろうという気持ちからというより、自分の妄執を解放したい、自分の生きたいとおりに人生を生きたいという欲求から生じていた。生きること、それがつねに最優先されていた。彼女のプロジェクトのなかでもとりわけ時間のかかったものには、純粋に自分一人のためになされた、他人にはいっさい見せていないものもある。」(柴田元幸訳、85-86頁)

2時45分に予約している近所の歯科に行く。

3時半ごろ帰宅。これから池上の梅園あたりに散歩に出かけるには少し遅い時間なので、自宅の居間のソファーで過ごすことにした。

そして夕暮れ。

夕食は「マーボ屋」からテイクアウトする。

テイクアウトした3品とサラダと味噌汁とごはん。

テイクアウトした3品は、海老のサクサクフリッター、鶏肉とカシューナッツの甘辛炒め、酢豚(黒酢)である。全部で2,500円ほど。ちょっと気取った中華料理店なら一品でそれくらいとられるだろう。安くて美味しい、そして近い(私の家から1分)のだから言うことはない。

食事をしながら『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』第6話(録画)を見る。母と娘は実は血がつながっていなかったという秘密を娘が知ってしまった。もう彼氏どころの話ではない。

パソコンとメールソフトをバージョンアップしたのを機に、メールをフォルダーに仕分けすることを始める。いつからかフォルダーに分けないで、受信フォルダーに時系列的に放置したままでやっていた。それでもなんとかやってこれていたが、やっぱりフォルダーに仕分けして管理した方が使いやすいだろうと、再構築を始めたのである。受信トレイに置いておくのは未処理のメールだけにして、返信したり、用済みなったものはそれぞれのフォルダーに移動させる。机上と同じで、受信トレイにメールが少ないとすっきりする。

風呂から出て、『ジェットストリーム』を聴きながら今日の日記を付ける。

1時15分、就寝。

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