フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

10月6日(日) 曇り

2024-10-07 13:51:41 | Weblog

9時半、起床。朝寝坊(日曜だし)。

チーズトースト、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

昨日のブログ(前半)を書きながら、竜王戦第1局二日目の対局を観戦。

封じ手は当然の3三銀。この後の藤井の指し手が注目されたが、9五歩と突いてから7七銀と引いた。(局後、佐々木はこの手順を予想していなかった「柔らかな指し方」と表現し、感心していた)。午前中はここまで進行。形勢はほぼ互角だが、持ち時間に差がついている(藤井>佐々木)。

1時から「いろは句会」(オンライン)。今日の参加者は画面左上から、恵美子さん、私(たかじ)、犬茶房さん、渺さん、紀本さん、さやかさん。投句と事前選句は蚕豆さんと花さん。

本日の投句は21句。兼題は「具体的な地名」。

主宰の紀本さんが21句を読み上げた後、選句タイムに入る(各自、天1句、地2句、人2句。得点は天が点、地が3点、人が1点)。

私は次の5句を選んだ。

天 秋渇き鯉の大口ひしめけり 

 「秋渇き」が季語で「秋になって食欲が旺盛になること」(食欲の秋)。このあまり見慣れない季語と鯉が餌を求めて池の縁に集まって来る見慣れた光景の組み合わせがいい。

地 倫敦(ロンドン)塔霧に不慣れな留学生

 夏目漱石がイギリスに留学して現地の生活になじめず神経衰弱を患ったという有名な逸話を下敷きにした句である。「ロンドン」を「倫敦」と漢字表記にしたのも芸が細かい。漱石には「倫敦塔」という短編小説がある。

地 秋澄みてホストも歩く高尾山

 ホストが高尾山を登っているという光景が面白い。しかし、ホストは外見からすぐにホストとわかるものだろうか。とすると、これはホスト自身の立場になって詠まれた句かもしれない。俺(たち)だって高尾山に登るのだと。

人 爽(さや)けきはサマルカンドの銀の月

 サマルカンドはウズベキスタンの首都である。というよりも、私にとってはシルクロードの要地であったチムール帝国の首都といった方がピッタリくる。「爽けき」と「サマルカンド」が頭韻を踏み、「銀の月」の冴え冴えとして感じと共鳴している。

人 初りんご青の香硬き面接日

 初林檎の青味と香とちょっと硬い触感が面接(就活か)を受ける若者の初々しい緊張感とマッチしている。ちょっと詰め込み過ぎの感じはするけれど。

各自が自分の選句を披露して、集計を出した後、高得点の句から感想が語られ、作者が明らかにされる。

14点  秋渇き鯉の大口ひしめけり 恵美子

 今回の特選は恵美子さんの句。私が天を付けた理由はすでに述べた。恵美子さんは軽井沢に行ったときの光景を詠んだそうである。これはそのときの写真。ちょと怖い。

10点 立食いの品川駅は秋の雨 たかじ

 私の句。犬茶房さんから天をいただいた。品川駅はホームがたくさんある。その中に1つだけ昔からの立食い蕎麦屋のあるホームがある。雨が降っている。これは句の表層的な光景だが、この句には文学史的な背景があって、中野重治の「雨の降る品川駅」という詩を踏まえている。国内の弾圧が日に日に厳しくなり、朝鮮に帰る友人たちを雨の降る品川駅のホームで見送る詩である。「辛よさようなら 李よさようなら 君らは雨の降る品川駅から乗車する」で始まる詩だ。というわけでこれは一種の本歌取りの句なのです。

9点 どこへでも歩いてゆける秋涼し 犬茶房

 さやかさんが天を付けた。とにかく今年の夏は(も)暑かった。作者はウォーキングを日課としているそうだが、なかなかつらいものがあったのではなかろうか。それが秋になって「どこへでも歩いてゆける」と。ちょっと大袈裟な気はしますけどね。去年のいまごろ私は「一駅を歩ける秋となりにけり」という句を作りました。つつましいでしょ。

9点 かなかなに生まれて次の人生は 蚕豆

 恵美子さんが天を付けた。「かなかな」は「ひぐらし」の俗称(鳴き声が「かなかな」と聞こえるから)。地上に出て、何日かして、寿命を終えようとする蝉が、来世のことを考えるという趣向。ところで「マナカナ」は次も双子に生まれたいって思っているのかしら。

9点 ポッケからどんぐり石ころだんごむし 花

 渺さんが天を付けた。どんぐり、石ころまではよいのだが、だんごむしで私は引きました。苦手なもので(笑)。

8点 キッチンでミサイルみてる赤い羽根 直美

 蚕豆さんが天を付けた。イランとイラクの戦争のニュースでしょうか。同じニュースで赤い羽根のこともやっていたのか、それともニュースキャスターが赤い羽根を付けていたのか。キッチンにいる人が付けているとは思えないので。

7点 再読も新作のごと老いの秋 たかじ

 私の句。花さんから天をいただきました。最近、村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を久しぶりに読み返したのですが、ストーリーをすっかり忘れていることに驚きました。でも、村上春樹は数年に一度しか長編を発表しないので、次回作を待ちながら旧作を再読する楽しみができました。歳をとるのもあながち悪いことではありません。

6点 秋寒や入浴剤をひとつ買う 犬茶房

 (東京では)急に秋冷えの日がありましたが、あの日に詠んだ句でしょうか。「ひとつ買う」がリアルのようでもあり、わざとらしいようでもあり、夏井先生風にいえば、ここの是非で評価か分かれる句でしょう。

6点 滴りを浴びて戻りし山の墓地 蚕豆

 直美さんが天を付けた(今回は天がかぶった句がひとつもなかった)。「山滴る」は夏の季語。草木におおわれて山が緑に滴っているような様子をいう。私はよく墓参りに出かけるが(年に6回ほど)、東京の下町にある小さなお寺で、気軽に出かけられるのだが、山の中にある墓地となるとハイキング気分なのだろうか。いや、墓参りにはウキウキした感じは伴わないだろう。

6点 秋澄みてホストも歩く高尾山 犬茶房

 私はこの句に地を付けたが、理由はすでに述べた。作者によると、ホストと思しき恰好の男性と客と思しきヒールを履いた女性が高尾山を登っていたのだそうである。やれやれ。なお、さやかさんは選んだ三句がいずれも犬茶房さんの句でしたね。壺にハマったようです。

5点 爽けさはサマルカンドの銀の月 渺

 私はこの句に人を付けたが、理由はすでに述べた。「サマルカンド」は「イスタンブール」とかにも置き換えられそうだが、やっぱり「サマルカンド」がいいかな(笑)。

4点 倫敦塔霧に不慣れな留学生 蚕豆

 私はこの句に地を付けたが、理由はすでに述べた。漱石と結びつけて鑑賞した人はいなかったようで、本当はもっと得点が入ってもよかったと思う。

 以下、時間の関係で、選句の結果だけ。

3点 秋うらら根岸の町のメンチカツ たかじ

 自分の句なので、注記だけ。台東区根岸は私の家の菩提寺の近くで、「香味家」という洋食屋がある。先日も墓参りの後でランチを食べた。根岸には正岡子規の晩年の住まい(子規庵)もある。

3点 病めるとも高きに登れ空を見よ 渺

3点 馬肥ゆる知立(ちりゅう)名物大あんまき 恵美子

1点 初りんご青の香硬き面接日 渺

1点 甲辰(きのえたつ)コトンと秋が訪れた 花

次回の句会は1月19日(日)。兼題は「百以上の数字を入れること」(by 恵美子)。

初句会になりますね。「よいお年をのごあいさつ」(でも、ちょっと早いでしょ)

まだ昼食を食べていなかった。カップ麺を食べながら、対局中継を観る。

まだまだ難しい局面が続いている。

昨日、ユウコさんからいただいたお菓子を食べる。

パンプキンのおかき。

「ティールーム101」に顔を出す。

カウンターの上でラズちゃんと稲穂がお出迎え。

紅茶の缶が並んだ棚にもラズちゃん。常連客のクリマさんの作である。

グレープフルーツのセパレートティーを注文する。

白玉とあずきもちょっと食べたい。

白玉は5粒入れていただく。見た目は3粒が一番きれいなのだが、それだとひとつ食べると途端に2粒になってしまって悲しいから。

「そうだ、そうだ」

1時間ほど滞在して店を出る。

まだ形勢は均衡を保っている。しかし、佐々木の持ち時間が・・・。

おそらく持ち時間を少なさを意識したのだろう、佐々木がじっくりっした戦いではなく、一直線の寄せ合いを指向して、形勢を損ねてしまった。

先手から2五桂と打たれる手を嫌って、後手が2五桂と打った。「敵の打ちたいところへ打て」と工夫した一着だったが・・・

先手から1七桂の返し技があった。

後手の同桂成るにいきなり3三金と打ち込んで、後手は同玉しかないが、2五桂以後手玉に必至(うけなし)がかかる。

佐々木は同玉とは指さずに投了する。

佐々木は局後のインタビューで初めてのタイトル戦を楽しんだと言っていたが、やはり独特の雰囲気に飲まれていたように思う。先手番になる第二局が大きな一戦になる。

夕食はカマス、ゴボウの甘煮、冷奴と納豆、味噌汁、混ぜご飯。

食事をしながら『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だったんだ』最終回(録画)を観る。よかった。

デザートは柿。

レビューシートのチェック。

「お風呂入れますか?」

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。