ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

甲斐よしひろ語り下ろしライナーノーツ(2019年)1

2021-05-02 15:26:00 | メディア
さて、いよいよ「コンプリートBOX」最後の1枚になりましたが
毎年、セットリストを考えることに、かなり悩まれていた甲斐さんが
「リクエスト大会やろうかな(笑)」とおっしゃったことはともかく(笑)

当時の甲斐報で、甲斐フリークの皆さんが、シーズン1~4までを
1年ごとにそれぞれ振り返っておられるので、おさらいがてらご紹介しますと…

シーズン1担当は「スコップさん」の生みの親でいらっしゃる大塚いちおさんで…
「コーエン兄弟の映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』の中から
『古くて新しければフォークソングだ』という甲斐さんの引用には
それがまた、これから始まる新しい挑戦への合言葉のように聞こえた」
…と、このシリーズのルーツに触れられ

「ステージは『離鐘の音』という予想外の選曲から始まった
そこには甲斐さんと鈴木健太氏の2人…健太くんの緊張が客席まで伝わる」
「『噂』『あの日からの便り』あたりだった
それまで鈴木健太というギタリストを品定めでもしていたかのような観客が
皆一斉に、その演奏を受け入れた」…と記されていて

ツアー初日のビルボード大阪に参戦した奥さんは「その通り!」と頷き
ビルボードという会場の雰囲気や、この新たなライブスタイルに加え
鈴木さんがガチガチに緊張なさっているのが客席にも伝わって来て
固唾を飲む音が聞こえるくらい張りつめた空気の中

時折、心配気に鈴木さんの方を振り返られていた甲斐さんが
この「噂」が終わった途端に「スゴイ!1人で弾けるんだよ?
甲斐バンドでやった時は、大森さんと松藤が2人で弾いてたのに…」
…と大絶賛なさったことを思い出したらしい

シーズン2は「ロッキング・オン・ジャパン」の海津亮さんが担当なさっていて…
「バンド、ソロ含め複数のライブ形態を数年の中で繰り返し続けて来た
近年の甲斐よしひろにとって、一番新しいフォーマットであり
『フォーク』をコンセプトとしたライブツアー、それの第2回目である

このシリーズは『フォーク』と呼ぶ必然が随所に見受けられる
まずオープニングの『街灯』…歌詞が、歌が、痛いほど耳に響いて
ここから始まる1時間半に対する期待がピークまで高まる

このライブでの発見は『ブラッディ・マリー』
フィドルの音色が、この曲をフォークのルーツにも感じさせる
そして『円舞曲』…繰り返しみんなで合唱する姿は、まさにフォークの真髄だと思う

社会性の強いメッセージや、人間の有り様を深く洞察したメッセージを
歌声が立つ楽器編成で詩的に表現するスタイル
それが僕にとっての『フォーク』だが、それに照らし合わせた時
甲斐よしひろの書く楽曲は、ある意味で全てフォークだと言える」…と評されてるんだけど

奥さんも、このシーズンの「ブラッディ・マリー」は
「座ったまま聴くのがツライ!」と嘆くほど「ハネた」フォークに驚いた1人で
甲斐さんご自身も、ずっとイメージされていた通りの演奏が出来て
いたくゴキゲンでいらしたみたいですし(笑)

他にも「卒業」や「夕なぎ」といった「大好きな声」の頃の曲や
切望していた「黄昏に消えた」をライブで…
しかも、ボーカルとギターが寄り添って歌うという
奥さんの「大好物」の演出で聴けたことに高まりまくり(笑)

また何と言っても、この年から「若きグルーヴマスター」
木村将之さんが、ツアーメンバーになられたことで
甲斐さんの目指していらした「フォーク」が
より一層くっきりと表現できるようになられたんじゃないかと…?

そして、シーズン3担当の金子雄樹さんも
やはりビルボードの「息苦しいまでの緊張感」に触れられたあと
「1曲目は『クール・イブニング』
鈴木健太のアコースティック・ギターと甲斐さんの歌とのデュオ。否応なしに緊張感が張り詰める
2曲目、甲斐さんのハーモニカも入った『荒野をくだって』
アルペジオの心地よい響きに聴き入っていることに気づく

「『レッド・シューター』では、鈴木がスライド・ギターを披露
『Fever』では、歪み系エフェクターも取り入れたバッキングで
観客とステージの間をどんどんとほぐしていくそう、この『EAST to WEST』の影の主役は鈴木なのではないか」…とおっしゃってますが

鈴木さんは、シーズン2から、バンジョーも武器のひとつに加えられたり
「やっぱり、曲のアレンジは『これだ!』って、ビビッと来るまで粘るべき
曲のポテンシャルを最大限に引き出すヤツがきっとあるはず
元が良ければ良いほど諦めちゃいけない」とツイートなさったり

また、甲斐さんとミーティングを重ねられ、そのコンセプトをメンバーの皆さんにお伝えになる
「バンマス」といった風格さえ漂わせていらしたそうですし
このシーズン3の初日には、最初の曲を弾き始められる直前に
「ニヤリ」と不敵な笑みを浮かべる余裕を見せられ

シーズン4に挑まれるにあたっては
「『まあ、見てなさいよ』というくらいの自信はもうあります(笑)」と
その陰で修練鍛練を重ねられたであろうことが窺えるご発言もあったし…って
そもそも、鈴木さんがいらっしゃらなければ、このシリーズは始まらなかったでしょうね?

で、シーズン4の担当には、再び大塚さんが登場され「ライブは生き物だ」
「重厚な甲斐バンドや、逆に『My Name is KAI』のような生ギター1本の時とも違い
この編成でしかない『スリル』や『独特の肌触り』といった『何か』を強く感じるのだ

それぞれの楽曲が持つ元々のイメージを裏切る、その変化も『スリル』の一つなのだが
その変化で浮かび上がった『肌触り』のような感覚を、脳内で感じることに驚く
1曲目の『愛のもえさし』からそうだ
歌詞で描かれている男の虚無感と切なさ
シーンの描写やヒリヒリとした感情までも
甲斐さんの歌声からリアルに伝わってくる

『フォーク』がテーマで始まった、このシリーズが、表面的なスタイルだけで続いているのではなく
その手法で何を描くか、というところに視点があることで
より高い次元で継続して来たライブシリーズだということが判る

『デッドライン』では、深夜に爆走する車の臨場感
状況説明を取り除いたソリッドな歌詞がクールに
だけど、どこかにザラザラとした質感を残し、再現される
『汽笛の響き』では、走り出す列車と鳴り響く汽笛
広大な荒野に突き進んでいく風景には
過去に聴いていた時には感じられなかったほどの、張り裂けるような切なさを感じる

この脳内の風景が、目の前の4人の生楽器での演奏によって作り出されていることに、はっとする
4人が作り出した『何か』…それは『魔物』のように、最後まで脳内を刺激し続ける
フォークはスタイルではなく、手段だ
このビルボードライブで、更に甲斐さんが描き続ける世界
この『魔物』のような存在が、僕はまだまだ楽しみでならない」と記されてますが

甲斐さんは…「そもそも、あの少ない人数で
オーディエンスを納得させるには、グルーヴが太くないとダメだし
それに加えて、メンバー全員の考え方が整理されて迷いがなく
進む方向がキチッとしていないと、あの小編成では保たないんです

ということは、メンバーは相当な緊張感を強いられるし
曲ごとに自分たちで楽曲をどんどん新陳代謝させていくという欲がないと、あのグルーヴは出せない

それに旬が過ぎたと思えば、止めればいいんですよ
でも、今の僕たちはもっと果敢にやりたい
もっとチャレンジしたいという思いが強いから
その強い意志と、それが鳴らす挑戦的な音を
どうぞ現場で楽しんで下さい」
…と話されていて、大塚さんのおっしゃる「魔物」は、更にパワーアップしているようです(笑)
コメント
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