読書な日々

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『ばらの騎士』

2017年10月29日 | 舞台芸術
リヒャルト・シュトラウス『ばらの騎士』(愛知県芸術劇場)

名古屋までシュトラウスの『ばらの騎士』を見に行った。行きは近鉄特急を使った。2時間(新幹線の倍の時間)かかるが、料金は半額と思っていたからだ。だが、ずっと誰かが口笛を吹いているような機械音がするし、二時間は辛かった。名古屋に着いただけで、もう疲れていた。

とりあえず、昼ごはんを食べて、会場に。折しも会場近くのオープンスペースではハローウィンの仮装した人たちがたくさんいて、楽しくはあった。着いたのは開演10分前でちょうどいい時間。座席も前から二列目。いつものかぶりつき状態で見れた。それに私の右側の座席が3つも空いているので、座席を移って、両側に誰もいない状態で、楽に見れたのがよかった。

さて、序曲は、『ツァラトゥストラはかく語りき』を聞いているような、いかにもシュトラウスという音楽。ところが第一幕がなんと退屈な。第一幕は登場人物の紹介をして人間関係を示す幕のようで、つまらない。元帥夫人と彼女の情夫である17才のオクタヴィアン、そこに田舎から元帥夫人の親戚の貴族オックス男爵がやってくる。ウィーンの金持ちブルジョワのファーニナルの娘ゾフィーと結婚をするためだ。ところが女装をして小間使いに変装していたオクタヴィアンに惚れてしまう、というような話。昼食の後ということもあり、半分以上寝ていた。

ところが第二幕になるとがぜん面白くなってきた。18世紀のウィーンでは婚約のために「ばらの騎士」がバラの花を届けるという風習があるという(実際はウソだが)。そのばらの騎士がオクタヴィアンで、彼と会ったゾフィーは彼に一目惚れ。オクタヴィアンもゾフィーに一目惚れしてしまう。そこへオックス男爵がやってきて、無礼千万を働いたので、ゾフィーは彼と結婚したくないと言い出す。それを見かねたオクタヴィアンがバラの花を男爵のお尻に突き刺して大怪我をさせる。激怒する男爵。しかしそこに小間使いから逢引の手紙がきて大喜び。

第三幕は逢引のための居酒屋の一室。演出はかなりシュールになっており、男爵が小間使いをいざベッドの押し倒そうした瞬間に男爵の偽の妻が息子たちと現れ、「パパ、パパ」と叫ぶ。そこへ警部が来て、重婚の罪になると尋問する。ここまでは上手く行ったのだが、予定外に元帥夫人やゾフィー、ファーニナル氏までやってきて大騒ぎ。最後は元帥夫人が手を引いて、オクタヴィアンとゾフィーは愛を誓う、という結末。

舞台は18世紀のマリア・テレジア時代のウィーンということになっている(因みに、元帥夫人はマリー・テレーズという名前になっている)が、演出ではシュトラウスと同時代の20世紀初めのようだ。なぜなら映写機や写真が使われているからだ。それはそれで面白いのだが、なぜシュトラウスが18世紀のウィーンに設定したのかがわからなくなる。

歌手では、ゾフィー役の幸田浩子がよかった。黙っているときはおばさんに見えるのだが、歌い出すと表情が生き生きとしているせいか、本当に10代の初な娘のように見える。歌うときのほうが若く見える歌手というのも珍しい。

それといかさま師の兄妹というヴァルツアッキという変な役があるのだが、これを演じていた升島唯博がじつによかった。髪型や髭の付け方などいかにもいかさま師という雰囲気がよく出ている。

このオペラはオクタヴィアンという17才の若い貴族の女装したら娘のように可愛く見えるというところがミソなので、いかにもタカラヅカの十八番になりそうな話である。タカラヅカでやったら面白そう。

幕間の休憩が25分もあって、終演したのは6時15分(四時間以上の長丁場)。帰りは新幹線を使った。料金も近鉄より1000円高いくらいだし、時間は50分で新大阪まで着く。最初から新幹線にしておけばよかった。帰りの新幹線の中で味噌カツ弁当を食べた。これで満足。

でも、もうオペラなんか見に行かない。退屈でしんどいだけで、何も面白いところがない。とかいいながら、11月3日にはモーツァルト、来年の3月にはワグナーのチケットを買ってあるから、見に行くけどね。


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