読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『フロイスの見た戦国日本』

2014年08月17日 | 人文科学系
川崎桃太『フロイスの見た戦国日本』(中央公論新社、2003年)

勝手にリンクを張っているインテレクチュアル・ヒストリー研究者のヒロ・ヒライさんが、彼のサイト「海外研究生活の日々」で、現在日本に帰国中で、昨年の骨折手術時に入れた金属を取り出すために入院している間に、フロイスの『日本史』を読んでいるというのを見て、私もと思い借りてみたはいいが、あまりに細かい内容なので、ちょっと気が引けていたところに、ちょうど訳者の川崎桃太という人がこれをまとめたこの本を出していることを知ったので、借りてみました。

日本史の中でも信長・秀吉の時代というのは、邪馬台国あたりの古代史とならぶ人気のある時代ではないだろうか。現在NHKでやっている「軍師官兵衛」も、本屋大賞を受賞した「村上水軍の娘」も、同じような時代だ。戦国時代は物語にしやすいエピソードが山ほどあるだけでなく、とくに信長が新しい日本の仕組みを作ろうとしていたことへの共感やそのために彼が行った数々の極悪非道の行為への反感も相まって、日本人の関心をひく強烈さが、この時代にはある。

フロイスの『日本史』はちょうどそういった時代の信長や秀吉を初めとした戦国武将や日本の風俗を事細かに記録した、しかも外国人が記録したものとして貴重な資料であろう。しかし、原本は散逸し、写本しか残っていないとか、あちこちに散らばっていたものがやっと最近になってまとめられただとか、しかしポルトガル語による出版が遅れていただとか、言葉の古さなどが障害となっていたが、松田毅一と川崎桃太という二人の研究者によって完訳が行われた。

アマゾンあたりのカスタマーレビューでよく書かれているように、著者による忠実な要約なのか、著者の意見なのかフロイスのどちらが主張していることなのかよく分からない箇所もあり、そういうものとして読む必要がある。

私としては、彼の書いたものがその後のヨーロッパ社会にどんな影響を与えたのか知りたいものだ。

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