仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

物語の重要性

2022年12月18日 | 日記

『考えるあなたのための倫理入門』(2022/8/18・メアリー・ウオーノック著)からの転載です。物語の重要性です。

 

 

全ての子どもに想像力を触発し発達させる主要な方法が1つある。それは、物語を読んだり語ったりすることである。物語は、あることが別のことに続いて起こるという単なるナラティブではなく、恒久的で、理解可能で、そして何よりも共有さている価値の詰まったものとして自らを提示するからである。 C,S.ルイスは例えば「物語について」という論文で「ジャックと豆の本」の物語は、その中心的な価値として、ある種の恐怖、怪物的なものに対する恐怖について伝えていて、それは物語でしか伝えられないが、[物語の形であれば]すぐに理解できるのだと論じている。この物語には核心があり、この核心は大男の観念なしには成立しない。われわれが実生活においてほんとうに大男への恐怖を経験したことがあるというのではない。 しかしわれわれはこの種の恐怖を知っていて(子どもはおそらく特にそうだろう)、ぼんやりとではあっても、それが普遍的な経験だと理解している。

 

 物語が価値を伝えるための手段として持つ多大な利点は、たとえ繰り返し読むことで見慣れた筋書きになってしまっても、何度でも立ち戻ることができ、核心にある観念(idea)を味わい、そこにさらなる発見がおこることである。ナラティブとは単なる言葉に過ぎないどころか、キューピットが否定したことの正に反対で、それは時を超えた真実の運び手なのである。

運ばれている価値は恒久的で、あらゆる人が知るべきである。物語は単純化し誇張する。子どものためには、良いことと賺なこと、善と悪、英雄と臆病者との違いを際立たせることで、安心をもたらし、そしてこのことはスタイルや出所の違いにかかわらず、子どもたちが愛するあらゆる物語にあてはまる。

 私か価値と呼んだ、物語の中心にある観念―恐怖であるとか不満であるとか純粋な慈愛の観念などーの継皆既と恒久性の感覚は、これらの観念が共有されているという事実と結びついている。

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