DOPING PANDAが解散を発表しました。
ええと、正直解散の時期としてはこれで合ってるのかな、という感じがします。
他の方の意見を見ていて同意したのが「空洞です」後のゆらゆら帝国みたいだ、ということ。
確かに「YELLOW FUNK」は大傑作だったし、今まででも最も最先端の音楽を作れた、という印象でしたが
同時にある種何かを極めてしまった感じもしていて
到達点でもあったんじゃないかなあ、って。
だからこそ、ここで解散という道を選ぶ事に関しては実は納得すらしているのだけど
ネックとなってしまうのがこのバンドの目標というか野心ですよね。
結局セールス的な革命は起こせなかった訳で
その点だとSTAnや椿屋みたいな志半ば、って感じがしてどうにも残念であります。
もっと言うと古川裕のキャラって言うかバンドの立ち位置的にユニークな一面が目立ったバンドなので
純粋に寂しいなあ、、、って思いも強いですね。
とはいえ、前述のように不思議と納得している自分もいるので、今は大人になろうかな、と。
ただ、一つだけハッキリしているのは「YELLOW FUNK」はバンドの壁を越えた傑作だったという事
セールスの伸び悩みとかが原因で解散したのではないんじゃないか、ということ。
実際どうなのかは分かりませんが、
個人的にはあれが現時点での最高傑作だと思ってるし、後々に評価されるタイプの作品だと思います。
だから、せめてあのアルバムだけでも正当に評価されればいいのに、と願わずにはいられません。
音楽ファンが大満足するようなアルバムではありましたが
どうにも不遇な印象が否めませんので。
取り合えず今思うのはそんなところですかね。最後の最後に名盤を届けてくれたのは本当に嬉しかったです。
個人的にDOPING PANDAについて思い入れのある曲が3曲あって。
いつも同じ企画ばかりでも芸がないので
ちょっとつらつら書こうと思います。
①Hi-Fi
メジャーデビュー盤のリードトラックですね。
今でもこの曲が真っ先に思い浮かぶんですが楽曲自体のキャッチーさによってではなく
実はこの曲が出た当時に初めて就職したんですよ。その時の「ミュージックスクエア」のED曲がこれでね。
毎日体力仕事で疲れて帰って来て、夜遅くにラジオ聴きながらリラックスしてて
この曲が最後に掛かると何かいつも良い気分になって。
何故良い気分になってたのか?って考えると
やっぱり繰り返しの単語だったり、メロディだったり、ビートだったり最大限に聴き手を気持ち良くさせる、
全力で気分を高揚させるようなフックを作るのが上手かったんだと思います。
この曲だったらアイラブユー、だけど
後々ではファイヤ、とかミラクル、だとか、コマイネーだとか
単純だけど耳に残る単語の選び方が秀逸でだからこそいつまでも耳に残ってる。
それはアルバム曲でもナッシン、とかモラリストだとかね。
その分かりやすさを洗練させる作業こそこの時期のドーパンの中で最も印象に残ってる部分で
中でも思い出補正と相俟ってやっぱり自分はこの曲が一番好きで。
近未来的な雰囲気の演出も上手かった。
②Beat Addiction
その「Hi-Fi」以降で最も新しさを感じたのがこの曲。
この時期は所謂過渡期というやつで
とにかく話題を集めて一気に売れたい、あるいは評価されたいっていう
そんなムードがビンビン伝わってきたんですけど
この曲ってそんなモードから、というより売れる/売れないの問題じゃなくてドーパン的に凄く新しくて。
唯一セールス狙いから除外されてる曲って言うか、純粋に音楽の面白さを追求出来てた曲って印象。
勿論この時期の他のシングルやその後のアルバムも好きだし聴くけど
この曲の一つ限界を打ち破った感じと言いますか
自らの声まで放棄して新しい音像に向かった感覚は今聴いても素晴らしいな、って思います。
基本ダンサブルですが神秘性なんかもあったりしてもっと評価されるべき曲かな、と。
③the anthem
で、最後のアルバムからこの曲です。
この曲は「YELLOW FUNK」の一曲目で実質リードチューンなんですが
音が今までと全然違うというか
異様にシックだし落ち着いてるし、でもメロディはきちんとドーパンだしっていう
ある種新次元に突入したかのような、良い意味で変わりすぎって印象で面白かったんですけど。
ここまで緊張感のあるダンス・ミュージックのアルバムは初めて聴いたかもしれない。
取り分けこの曲はその中でも鮮烈な存在感を放っていて
この一曲だけでこのアルバムの世界観に引き込むには十分とも言うべき楽曲として成り立っていて。
今でもこの曲を初めて聴いた時の感触は忘れられません。
新しい扉が開けたような新鮮な感覚。
しかし同時に「空洞です」よろしくこの作品の後に何やるの?的な印象もまた拭えなかった訳で。
最後に収録されている「the miracle」が今聴くと本当にラストチューンに聴こえてくるから不思議なものです。
「気づいてるんだよ
もし力つきて倒れたって
どっちみち英雄になれるってことを」 (the miracle)
バンドが終わる、という事は完結するって意味合いにも取れるから
むしろ本当に評価されるとしたらここからでしょう。
個人的には「YELLOW FUNK」こそ評価されるべき作品って思いますが
ベストにせよ何にせよこのバンドがして来た事は確実に意味のある、意義のあることだったと思います。
AIR JAM以降の新しいパンク・メロコアシーンを切り開いた一角にこのバンドも位置するでしょう。
売れなくなったから解散って捉われる事がファンにとっては恐ろしい事ではありますが
個人的な考えではありますがこの記事で少しでも本質が伝われば。
ラストライブも頑張って行きたいところですね。
最近はあんまり解散ライブをやらない風潮もあるけど、やっぱり最後くらい見送らせてよって気持ちあるので。
しかし、椿屋やドーパンとかが解散って世代交代って単語がどうしても頭を過ぎってしまう。
同時にメンバーの今後の動向にも大いに注目しています。