超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

still a Sigure virgin?/凛として時雨

2010-09-27 22:42:56 | 音楽



秋から色んなバンドのツアーが始まるんで色々日程調整が大変です。
で、このバンドもツアー出ますね。
って事で凛として時雨の新譜なんかのレビューを。



初めて聴いた時も、
何度か聴いた時も思ったんですけど
このアルバムは、前作のような実験的な部分は余り少なくて
むしろこれぞ時雨!みたいな
時雨ならではの武器をいっぱい搭載しました、みたいなアルバムになってるんですよ。
それこそ前作のエッセンスもちゃんと入ってるし。
要は、タイトル通りですよね。
「これで時雨を体験しろ!」みたいな。ちょっと違うかもしれませんが、自分はそういう風に受け取りました。

結構ね、今までナンバーガールのイズムを受け継いでるバンド、みたいなイメージもあったんですけど
これ聴いてるとあれですね
THE MAD CAPUSEL MARKETSみたいな感じでもあるのかなあ、なんてちょっと思いました。
デジっぽい音の曲とか聴いてると特に。
微妙にあの時の感覚が蘇ってくる気がしなくもない、というか。

個々の曲に関して言えば
まず鉄板なのは「I was music」「replica」あたりか。
この2曲に関して言えば気持ちの良いぐらい時雨!って感じで
とても安心して興奮できる曲です。
その他の楽曲も、前作を経た上ならば違和感なく聴けるような楽曲に仕上がってるんですよね。
どれもこれも。
実験作を経たからの、王道的エッセンス、というか。
ただ「Can you kill a secret?」ってのはタイトルがまんま宇田多ヒカルで笑いましたけどね(笑)。
内容はとってもハードコア、って感じですけど。
最後の「illusion is mine」なんかは345の声のキレイさを活かしている様なナンバーで
これもまた新境地って感じでいいです。
声がキレイ、と言えば6曲目の「eF」の歌声はヤバいっすね。
何故だか分からないうちに涙腺刺激されてるという。
要約すると、とても分かりやすいアルバムです。
そして今までで随一に聴きやすい。
連続で聴けちゃう感じで。


このアルバムを作ったのは
4月のたまアリだとか、気が付けば全国ツアー回る時に、公演場所がほぼ大バコになってたりだとか
そういった最近の状況も影響してるのでは、ってちょっと思います。
良いタイミングだから、マスターピース作るか、みたいな。
そういう感じで聴くと、また面白いかも。
前述の通り、初心者にも勧めやすい感じで。

時雨は、何気にデビュー作の「#4」から聴いてるんですけど
そこから考えると随分進化したな、って思います。
過去作は過去作で良いんですけど
新譜は新譜で、微妙にマイナーチェンジしたり、聴かせるポイントが違っていたりと
上手く考えて作ってあるのが面白いな、と。
あの頃と比べると大分記名性も上がった感じ、がする。


ツアーのチケットも無事取れたので、「still a Sigure virgin?」の世界を生でも味わって来ようと思います!




I know/STAN

2010-09-27 01:53:29 | 音楽(旧譜レビュー)



「ただでさえウザイこの世界に乾杯!」  (「shuffle off」)


って事で旧譜レビューのお時間です。
今回はSTAN(現STAn)の「I know」というアルバムです。
今から4年前ですね。
リアルタイムで取り上げたかったけど、何故か取り上げてなかったので。

最初に言っておくと、すげえ良いアルバムです。
だって、とっても素直なんだもの、っていうね。





「何も思わずに 君をやればいい」 (「Not Rock、But Roll」)

何も思わずに自分をやればこんなアルバムが出来てしまう、という。
このフレーズめちゃくちゃ好きです。
 とってもコンパクトな印象のアルバムで
聴きやすいポップソングの集合体、みたいなイメージなんですけど(実際超聴きやすい)
これが意外とディープな部分だとか
自由にやりすぎてバラバラになってる部分だったり
でも、だからこそ人間臭くて面白かったり。
多分最もパーソナルな部分が良く出ているアルバムじゃないかと。
ファンの間でも評価は高いんじゃないかと思われます。勝手に言ってるだけですけど。

全9曲、時間は約30分。
下手すればそこら辺のミニアルバムより時間短いんじゃないの、って思いますが
中身は凄く充実してる。
まず一曲目の「愛に逆らうな」の時点で
非常にスッキリするというか、リフ聴いてるだけで気持ちいいなあ、って思えるというか。
この曲のリフは是非直に聴いてみて欲しいですねえ。
ちょっと悟ってるような歌も小気味良くて好きです。

「あゆ」ではややおちゃらけたテンション、でもそれがとってもハッピーな気分になれて。
と、思ってたら
その後直ぐにずぶずぶとディープゾーンに突入していく訳です。
いかにもひねくれものの音楽、っていう「AUSCHWITZ」も最高ですが
ハイライトは「broken」。
直前の「考えすぎな男」でイライラをぶちまけてた、っていうのもあって
とてもどん底に落ちていくような気分を味わえます。
そんなもの味わいたくない?
でも、自分にとってはそういうのが重要なんだよねえ。
前半みたいな楽しい楽曲があるのと同時に、こういう闇みたいな曲たちもあって。
それ即ち陰と陽を端的に表現してるような気がして
そのバランス感がとても好きなのです。
 で、前述したようにただキレイにまとまってる訳じゃなくて、自由にやってんな、って部分も感じられるし。
良い意味で気負いのない、その時の感情を素直に吐き出してるかのようなアルバムの作り、
そして構成は聴き手にとっても楽に聴ける、って部分があって。
それは闇の部分も含めてね。
恐らくSTAnのアルバムの中じゃ、最も間口が広い、って言って構わないかも。
 個人的には現時点で最新作である「ROCK」が一番好きなんですけど
聴く頻度はこっちのが高いかもしれないです。
「タイガーアイ」はいつでも聴いてるんですけどね。アルバムとしての聴きやすさは、やはりこれが群を抜いてるな
って思うわけです。改めて。

それで、「アメリ」みたいな美メロのしっとりした曲を
最後の手前にポン、と置いてるのもニクいです。
確かにワンクッション欲しいんですよ。「I know」に行く前に。

その「I know」では
体裁なんかよりも、大事なものがある、みたいな。
そんな感じのメッセージを個人的には受け取っています。
最後の最後で、粘りの強い曲を入れてきたな、といいますか。
色々と各々で考えさせられるような曲です。

余談ですが、この曲タイトル曲でもあるんですが
当時アルバムのタイトルが「STANⅢ」じゃないのにちょっと驚いた記憶があります。
ただ、このタイトル個人的に気に入ってるので別に良かったんですけど。
案の定検索したら
同じ事思った人がけっこう居て、それも楽しかったなあ。
なんて思い出もあります。



気が付けば、STAnの注目度って
かなり低くなってしまった気がしてならないんですけど
こうやって過去のアルバムを聴いてると
やっぱり凄く良いバンドなんだな、って再確認させられます。
あんまり気軽に音源を出せるような状況じゃないっぽい?って推測してしまいますが
また再びかっちょいいアルバム届くの待ってます、という願いも込めて。
また気が向いたら他の過去作のレビューもしようかな。

それと、ワンマンツアーやるみたいですね。
「ROCK」のツアーでは千葉しか行けなかったので、今回はワンマン参加したいなあ。




「さびついたがんじがらめの南京錠はちぎられるのを待っている」 (「Not Rock、But Roll」)

何気に勇気付けられるフレーズも多数。