LOST IN TIME「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューその3です。「ニジノシズク」。
ツアーファイナルの振り替え公演までには終わらせるつもりで・・・。
3.ニジノシズク
メロディのキレイさ、なら今作でも突き抜けて高いと思います。
加えてライブでメレンゲのクボケンジが歌ったのを聴いたんですが、それもまたすっごく良くて。
きっと誰が歌っても歌いやすく、形になり易い、そんな曲じゃないかと。
親しみ易く、かつグッと来るメロディ。
ロストインタイムの理想系に近い音。をこのキャリアで出せた事は大きいと思います。
【君がいた事実を 無くしてしまわぬように】
この歌は昔自分たちと一緒に走ってたバンドマンに向けて歌ったもの、だそうです。
そうじゃなくても昔好きだったグループとかきっと誰にでもいると思うけど
そんな昔輝いていたいくつもの歌や、歌じゃなくても表現全般でもいい
もしくは大切だった誰かでもいい。
それを一切失くしたくない
忘れやしない、と。他の誰かが忘れても、誰にも気にされなくなったとしても
自分だけは気にしてやる、気に掛けてやると。
最後の一人になったとしても。
【君のいない毎日に 馴れてきてしまったよ】
そうはいっても人間は何かを失ったら何かでその穴を無理矢理埋めることが出来るので
その意味ではきっと忘れてないとしても
そこに対する馴れは生まれてる。
いい事なのかもしれないけど
あの時のような感動だったり、喜びだったりはもうなくて。
そこに対する寂しさは常にあったりするんです。
【今でもきっと何処かの誰かが 素知らぬ顔して追いかけてる】
この部分がとても好きなんですけど
そこで失った夢とか、希望とか、若しくは別の何かとか
あの頃の自分や自分たちが出来なかった事を自分よりも後からの人が必死に追いかけてて
先人の苦しみや痛みも全く知らず
ただただガムシャラに追いかけてて、それに対する羨ましい気持ちもあったりして。
何にでも置き換えることの出来る歌ですけど、
この部分は本当にバンドマンならではの視点、歌詞という感じでとても好きです。
或いはスポーツ関係でもいいかもしれないですね。
昔の同級生だったり
誰かとの想いだったり・・・結構に奥行きのある歌詞になってると思います。それぞれが選択出来るような。
何度も打ちのめされても
何度でも失敗しても、足は前に進むように出来ていて
その証拠に後ろ向きに歩く事はできない。
必ず前にしか歩けない。そこにしか道はない。懐かしがっていても、未練があったとしても
進むべき道は一つだけ。
でも、たまには振り返ってもいいし、それを原動力にしてやればいい。
あの頃の夢や希望がまだ残ってる限りは、もう少しだけ進む事が出来る。
限りなく青いメロディに純真なサウンド・・・
と思いきやそこには幾つもの経験や後悔が沁みこんでいて。
「説得力」の有無、って点に関しては相当のものじゃないでしょうか。ロストの歴史を考えると更に。
そんな今だからこそ生まれたものすごくポップで、痛みの在るメロディ。名曲です。