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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ロスト アンド ファウンド全曲レビューその3 「ニジノシズク」

2011-04-20 00:22:58 | LOST IN TIME 全曲レビュー





LOST IN TIME「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューその3です。「ニジノシズク」。
ツアーファイナルの振り替え公演までには終わらせるつもりで・・・。






3.ニジノシズク


メロディのキレイさ、なら今作でも突き抜けて高いと思います。
加えてライブでメレンゲのクボケンジが歌ったのを聴いたんですが、それもまたすっごく良くて。
きっと誰が歌っても歌いやすく、形になり易い、そんな曲じゃないかと。
親しみ易く、かつグッと来るメロディ。
ロストインタイムの理想系に近い音。をこのキャリアで出せた事は大きいと思います。


【君がいた事実を 無くしてしまわぬように】

この歌は昔自分たちと一緒に走ってたバンドマンに向けて歌ったもの、だそうです。
そうじゃなくても昔好きだったグループとかきっと誰にでもいると思うけど
そんな昔輝いていたいくつもの歌や、歌じゃなくても表現全般でもいい
もしくは大切だった誰かでもいい。
それを一切失くしたくない
忘れやしない、と。他の誰かが忘れても、誰にも気にされなくなったとしても
自分だけは気にしてやる、気に掛けてやると。
最後の一人になったとしても。


【君のいない毎日に 馴れてきてしまったよ】

そうはいっても人間は何かを失ったら何かでその穴を無理矢理埋めることが出来るので
その意味ではきっと忘れてないとしても
そこに対する馴れは生まれてる。
いい事なのかもしれないけど
あの時のような感動だったり、喜びだったりはもうなくて。
そこに対する寂しさは常にあったりするんです。


【今でもきっと何処かの誰かが 素知らぬ顔して追いかけてる】

この部分がとても好きなんですけど
そこで失った夢とか、希望とか、若しくは別の何かとか
あの頃の自分や自分たちが出来なかった事を自分よりも後からの人が必死に追いかけてて
先人の苦しみや痛みも全く知らず
ただただガムシャラに追いかけてて、それに対する羨ましい気持ちもあったりして。
何にでも置き換えることの出来る歌ですけど、
この部分は本当にバンドマンならではの視点、歌詞という感じでとても好きです。
或いはスポーツ関係でもいいかもしれないですね。
昔の同級生だったり
誰かとの想いだったり・・・結構に奥行きのある歌詞になってると思います。それぞれが選択出来るような。




何度も打ちのめされても
何度でも失敗しても、足は前に進むように出来ていて
その証拠に後ろ向きに歩く事はできない。
必ず前にしか歩けない。そこにしか道はない。懐かしがっていても、未練があったとしても
進むべき道は一つだけ。
でも、たまには振り返ってもいいし、それを原動力にしてやればいい。
あの頃の夢や希望がまだ残ってる限りは、もう少しだけ進む事が出来る。
限りなく青いメロディに純真なサウンド・・・
と思いきやそこには幾つもの経験や後悔が沁みこんでいて。

「説得力」の有無、って点に関しては相当のものじゃないでしょうか。ロストの歴史を考えると更に。
そんな今だからこそ生まれたものすごくポップで、痛みの在るメロディ。名曲です。




ロスト アンド ファウンド全曲レビューその2 「青よりも蒼く」

2011-04-09 22:03:13 | LOST IN TIME 全曲レビュー






最近海北大輔の歌を聴いてると泣けてきて仕方がない。
今週も参ります「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューその2「青よりも蒼く」です。




2.青よりも蒼く

突き抜けるくらい爽やかで、みずみずしくて、エネルギッシュなバンドサウンド。
それに乗せて思いっきり歌われる威勢のいいボーカル。
に反して歌詞の内容は内省的で。
逆に言えば内省的だからこそ、こういう思いをぶつけたくなるんだよ、と。
そしてそれは非常に正しいし、シンパシーを感じます。


【誰かが泣けば 誰かが笑う】

他人の不幸は密の味。
貼り付けにされる無様なひと。
心では思ってもいないことを平気で言ったり。

そんなもんに散々振り回されていて、振り回されてしまって
気が付けばいつ、どんな時でも他人の顔色を伺うようになってしまった。
人の目を気にする事ばかりで。
人の目ありきで行動して。
でもそれって本当の自分なのか?
そこに本当の自分なんてものはあるの?
誰にどう言われようが、一番大切なのは自分の意志なのに・・・。

それを曲げてまで生きてることに意味はあるんだろうか。
それを「普通」だって認めてしまったら
自分の証明って一体何なのさ?


大人になるのは簡単ですけど、真の意味で大人になるのは非常に困難です。
昔、本当に自分が青かった時に思っていた真逆を行くのなんてザラなんです。
ただ、その現実から目を背けるのも違うと思うんです。

【助走もないまま誰よりも高く 跳べると信じてたあの頃に】

確かに思うようにはいかなかったし
何度も何度も失敗を繰り返してしまったけれど
やっぱり無心に未来を信じてみたい気持ちは失われてなくて
だったらそれをもう一回呼び覚ましにいこう、と。

呼び覚ますのは容易ではないですよ。
だってもう何度も「現実」ってやつを見てしまったんですから。
だけど、このまま腐って終わるのもまた勘弁なんです。
それもまた正直な気持ちで。
絶望と希望は紙一重なんです。どっちも必要。なんだと思う。なんだかんだいって。

いくら現実に叩きのめされても、何度も立ち上がって。




繊細な部分を描いたと思ったら、途端に加速するアンサンブルもまた気持ちよく、男らしさも溢れている。
青空に向かって走る少年のイメージが浮かんできます。素敵な曲です。



ロスト アンド ファウンド全曲レビューその1 「ひとりごと」

2011-04-02 11:50:13 | LOST IN TIME 全曲レビュー





今日から週一のLOST IN TIME「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューを開始します。



先日、ツアーファイナルを楽しみにしていた所飛び込んできた延期の文字。
3月に行うはずだったファイナルが6月の後半になってしまった、
という事でちょっと気落ちはしたんですけど
その分、それまでにこのアルバムを改めて、自分なりに掘り下げておきたいな、と。

もう何度も何度も語ってるんですけど
それでもまだこのアルバムを推したい気持ち、堪能したい気持ちがあって。
なんせリリースから約半年過ぎたのに未だにヘビロテしてますから(笑)。という訳で、その一発目です。





1.「ひとりごと」





【もう会えなくてもいい このまま言えなくてもいい
 あの日あの時の僕らが いつも笑ってたのは嘘じゃない】

ふと、昔に戻りたくなる時があったり、過去に対しての未練が浮かんだり
それによって前に進むのが惜しくなったり
それを頼ってしまいたくなったり。
そういう時って日常茶飯事に襲ってくるもので。過去の想いに別れを告げられないまま。

だけど、あの時の自分が確かに喜びに満ちていたことや
誰かとそれを分かち合ってたこと
それが未だに残ってること。
ここに残ってるということ。
それが一つの糧になるというか、そこに向かって戻るのではなく、それを大事にして前に進む。
また自分にとっての喜びの時間だったり、楽しい時が訪れますように。
また素直に笑える日が来ますように。

そんな祈りのような、餞のような。とてもキレイな歌です。


捨ててしまった過去や失くしてしまった思い出
それを考えて憂鬱な気分に陥る事もあったりするんですけど
もう一度その瞬間を思い出してみれば
その時
その場所
その自分は確かに笑ってて、満たされてて、十分に楽しんでいて。

そこを追いかけるのではなく、それを認めて、そっと別れを告げる。過去に対しての鎮魂歌というか。


【進むべき道は違っても 僕らきっとまた笑える】

無理に時を戻そうとするのではなく
色々と経験があった末に、また同じ道に戻ってこれたら
それはそれで幸せ、というか、それを願ってる気持ちもあって。でもそれは未練なんかじゃない。
あくまでその時を待ってるだけ。
だからもう前に進まなきゃいけない。歩き出さなきゃいけない。
でも、だからって一人な訳じゃない。
だって、笑い合った、楽しかった思い出がまだ胸に残ってるから。それがある限り、足を前に出せる。

そんな旅立ちの前の歌というか
ある意味「旅立ち前夜」をブラッシュアップさせたような歌にも聴こえます。
ロストインタイムど真ん中の甘酸っぱいメロディも、海北の伸びの良いボーカルも、
何もかもが上手くハマってるように感じられて。
ライブで聴くとまた涙腺直球なんだよな。
新たな定番曲がまた生まれました。




【聞こえているかい?】

でも、もう聞こえてなくていい。だってこれは「ひとりごと」なんだから。