日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

ダーチャ・マライーニ講演会「書くこと、生きること」に鳴りやまぬ拍手(2014.5.23)@イタリア文化会館

2014年05月24日 | イタリア関連の催し

ダーチャ・マライーニ講演会「書くこと、生きること」に鳴りやまぬ拍手(2014.5.23)@イタリア文化会館



ダーチャ・マライーニ氏講演会 その終了とともに鳴りやまぬ拍手がいつまでも続き 感無量でした... サインを求める方たちが終了後も彼女を取り囲み ずっとずっと氏のあたたかな人柄が会場全体を包んでいたのです... 

私が中でも心に残った言葉は 「書くことは自伝であれ小説であれ 他の世界を創るということ そして作家というのは潜水夫のようなもの 海の底に沈んでいるものを拾い上げて海面に出す作業をするのです そう 探しているものはすでに海底にもうあるのです...」とのくだりです

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ダーチャ・マライーニ氏は幼少の頃 文化人類学者であり当時アイヌの研究をされていた父フォスコ・マライーニ氏と家族とともに札幌に住んでいました 
その懐かしい札幌の家の写真に始まり 氏の幼少の頃の写真が次々と映し出され なつかしい家族 なつかしい風景に聴衆一同魅入りました 

ですが第二次大戦当時のイタリアはファシスト政権にあったため サロ政権への忠誠を誓うよう強要されたことを両親が拒否したため 名古屋にある外国人のための強制収容所に送還されます 

その時の体験はとても聞くのがつらく 父親の愛と勇気と 家族の絆あればこそどうにか生き延びてこられたのだと 国内にもこのようなことがあったのだと驚きました 地元の農民は幼い彼女に対して優しくしてくれたことが救われました


戦後一家はイタリアに戻り のちに父とともにこの収容所跡を探しに来た時 誰もその場所を知らず となりにテニスコートがあったという記憶を頼りに地図で探し当てたエピソード そしてイタリアに帰ってから 言葉の問題や家族の影響(祖母も作家 母は画家)もあり 書くことが彼女にとってはなくてはならないことになっていったのだそうです


そして 戯曲と小説について 東洋と西洋における死のとらえ方の違い 文化の違い 能について等の話に続き たっぷりと会場から7人の質問を受けて丁寧に答えてくださり また通訳の方もひとつひとつ的確にすばらしい訳をしてくださり 感銘を受けました

自伝と小説の違いについて (冒頭の言葉がその答えです) 世界で起きているグローバリゼーションの流れはとどめようがないが 人の動きとそれに伴う様々な問題をgovernare(治めてゆく)ことが大切 60~70年代のアフリカの印象と今のアフリカがどう変わってしまったかについて 能は伝統を変わりなく受け継ぐまれな形態でありとても好きだとのこと その他 氏の書かれた小説等についての質問が飛び交い 最後は鳴りやまぬ拍手がいつまでも続きました

実に濃密な一時間半の講演会でした 会場は本当に暖かい雰囲気に包まれ イタリア人の聴衆が特に今夜は多く また知人が質問に立った時は私もとても嬉しく誇らしく(ちゃんと本を読んでから質問するのはさすがですね) 実にすばらしい講演会でした

この場を借りまして 素晴らしい講演会を開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます

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なお この講演会を前に 知人より伺ったダーチャ・マライーニのインタビュー記事"Intervista con la Scrittrice Dacia Maraini" di Gaither Stewartを読みました
 
インタビューは こちら

 インタビューのピックアップ:
ダーチャ・マライーニは1936年にフィエーゾレで生まれ 1939年から1946年まで日本で暮らしました

父のフォスコ・マライーニは人類学者 シチリア出身の母もまたantifascisti(反ファシスト) 1943年に外国人収容所に移送されて苦しい日々を過ごし 生き延びてきました 
 
1946年に解放されイタリアに帰国 また10代を過ごしたシチリアでは 社会の抑圧 マフィアの問題 自分はいつも反逆者であったことにも触れています

3年間フィレンツェのカトリック系の寄宿学校に入るが そこでも抑圧されてきました 19才でローマにわたり 作家としての人生を始め 1999年にはストレーガ賞を受賞

作品の中で とりわけ「イゾリーナ ~切り刻まれた少女~」の中で antimilitarismoだけでなくanti-maschilistaのインスピレーションもあったことなどが印象に残っています 

詳しくはイタリア語のインタビューをぜひ読んでみてくださいね(^^)/

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講演会のお知らせは こちら



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