日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

講演会シリーズ「世界の書棚から」シリーズ第5回「知られざるアルゼンチンの絵本の魅力」に行ってきました(2022.7.8)@板橋区立中央図書館

2022年07月17日 | イタリアの本・絵本・雑誌

講演会シリーズ「世界の書棚から」シリーズ第5回「知られざるアルゼンチンの絵本の魅力」に行ってきました(2022.7.8)@板橋区立中央図書館

 

絵本のまち いたばし」の板橋区立中央図書館・板橋区立美術館が合同で 月1回開催している「世界の書棚から」シリーズ  第4回の「ベルギー」に引き続き 第5回は アルゼンチンです:

 

サッカー大国 タンゴの発祥地として知られるアルゼンチンの児童文学は 世代を超えて愛されるマリア・エレナ・ウォルシュや 国民的漫画『マファルダ』の作者キノ等の絵本作家たちがいます 

この日は最新の出版事情とともに紹介してくださいました 

若い頃にはアルゼンチン・ツクマン出身の友人がいて スペイン語も学んでいたので 愛着が湧きます😊

       *       *       *

アルゼンチンの国土は日本の7.5倍 人口は1/3  在留邦人は1,1万人前後とのこと

アルゼンチンは 1516年にスペインの探検家が発見し スペインの支配下に置かれ 1816年アルゼンチン共和国として独立し 1976 ~83 年軍政を経て 1983年民政に移管されました

その後各国から多くの移民が入り 第2のヨーロッパとなりました (人口の95%以上がヨーロッパ系移民) イタリア系移民も多いそうです

首都ブエノスアイレスのコリエンテス通りには たくさんの書店や古書店が並び 中でも「世界の素晴らしい本屋10選」(英国ガーディアン)で2位に選ばれたEl Ateneoという書店もありますが コロナ禍で店じまいをしたところも多いそうです

公立学校の制服はみな白 これは貧富の差を感じさせないためとのことです

 

1. マリア・エレナ・ワルシュ/Maria Elena Walsh(1930-2011)

子どもが初めて読む本として知られた「Dailan Kifki/ダイラン・キフキ」は  象と女の子が主人公の自由な発想の本ですが 軍事政権下で危険視され 発禁となったそうです  

Como la cigarra/セミのように』は 第2の国歌とも呼ばれたとのこと 長い間地中に潜りようやく地上に出てゆくセミになぞらえたのでしょうか 独立200年記念やロックダウン中にも歌われたたそうです 亡命歌手のメルセデス・ソーサも歌ったのだそうです

カメのマヌエリータ』(Manuelita la tortuga)はアニメ映画化もされています 

 

2. エルサ・ボルネマン/Elsa Borneman(1952-2013)

Un elefante ocupa mucho espacio/象は大きな室内を占める」やはり軍政下で発禁となります サーカスの象がストライキを起こし 人間を檻に入れて動物たちをアフリカに帰せと要求するストーリーです

 

3. キノ/Quino(1932-2020) 

冷戦などについて  6才の少女の眼を通して語る「マファルダ/Mafalda 」(1964-1973)は キノの代表作の4コマ漫画です

 

4. イソール/Isol(1972~) 歌手でもある彼女が キノの影響を受けて自由な発想で作った折り畳み絵本で 裏と表の両面からひとつのストーリーを見る「Secreto de familia /かぞくのひみつ」 暗いところで発光する表紙の「Nocturne」 伝統刺繡の絵本「La Costura」等 特色ある絵本をご紹介いただきました

5. ヤエル・フランケル(Yael Frankel)はシンプルな絵を描く人気作家で ラガッツィ賞も受賞しました

                    *       *       *

後半は大使館の方のご挨拶をいただき アルゼンチンの書籍出版の報告がなされました:

 

またコロナの影響で 発行点数こそ変わらない中でも 紙の本の発行部数が減り 電子書籍(紙の本の電子版)が増えたと伺いました

子どもの本は 教科書も含めて全体の15%で 2位を占めています

 

Editorial Limonero/リモネーロは レモンの木という意味の出版社です

「本は読み手によって完成する」をモットーとしています

移民をテーマにした「Esa cuchara(あのスプーン)」等ご紹介いただきました

 

Listocalisto/リストカリストという小さな独立系の出版社は 2016年から30冊程出版をしており ボリビアの湖の枯渇をテーマにした「Los huérfanos del Poopó. Cuentos de un lago desaparecido/ポオポ湖のみなしごたち」 

植民地時代にアフリカから来た奴隷の親子を描いた「Rosalía y el revés de las cosas/ロサーリア」等をご紹介いただきました

Pequeno editor/ぺケーニョ・エディトール

家も家族もいない男の子の出てくる「Una casa bien abierta/わたしの家」等をご紹介いただきました

 

Periplo/ぺリプロ」という出版社も独立系で 料理の本を中心に 子どもや赤ちゃんのボードブック等を出しています 

2022年7月には 第30回ブエノスアイレス児童書ブックフェアが開催されます これは学校単位で参加し 地元の子供たちでにぎわいます

アルゼンチンの翻訳助成プログラム Programa Sur は こちら

アルゼンチン書籍の外国語翻訳出版推進プログラム Argentia Key Titlesは こちら

 

翻訳絵本は 日本人には書けない(描けない)作品を通して開かれる世界への扉です 作家自身に惚れこみ 自由に個性的に作られ 版型もバラエティーに富んだ作品も多く 日本では扱われにくいテーマ(LGBT、養子縁組、移民、独裁) その土地特有の自称や物語も そして先住民の言語であるウィチ語とスペイン語併記のバイリンガル絵本まで 多岐にわたります 

大使館の方の挨拶もあり 実に充実したセミナーでした!! 

第5回「知られざるアルゼンチンの絵本の魅力」は こちら

第6回は イランです!!

 


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