心と神経の哲学/あるいは/脳と精神の哲学

心の哲学と美学、その他なんでもあり

哲学B1 文章講義(第37回目)

2021-01-10 10:18:35 | 哲学

今日は「4  還元と創発」について説明する。

この節は非常に短いので、説明も簡潔なものにする。

 

我々が創発の概念を理解する際には、神秘主義や超自然主義に陥ることを是非避けなければならない。

そのためには「還元」という近代科学の合理性と驚異的進歩を可能とした方法をちゃんと受け入れたうえで、創発の概念を理解することが肝要となる。

 

創発主義はもともと自然主義的であり、この世の事象の根底にやはり「物質」というものを据える。

ただ、その理解が情報や形相と絡んでいて、単純な唯物論的物質観や機械論的自然観とは違うだけである。

しかし、還元と分析だけを重視し、機械的因果関係に固執すると、前回述べたような分子還元論に陥る。

世の中は複雑系であり、形相的情報→物質→生命→心という階層を創発的に生み出す、一つの巨大な有機体なのである。

 

神秘主義的な創発概念の信奉者は「芸術家になれても科学者にはなれない」のであり、還元主義者は「技術万能主義と実用性に偏向した科学者にはなれても

哲学的深みのある科学者にはなれない」のである。

 

       たしかにそうだにゃ にゃ

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新著『心の臨床哲学の可能性... | トップ | 哲学B1 文章講義(第38回目) »
最新の画像もっと見る

哲学」カテゴリの最新記事