いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

大阪都と大阪市。 metropolis and city of osaka

2015-05-11 19:59:30 | 日記
 (1)大阪都構想是非の住民投票が来週日曜に迫ってきた。大阪市以外には投票権がないので、その他の地域ではあまり報道もなくて関心の高さが伝わってこない。
 メディアの直近の世論調査では住民投票に「必ず行く」が67.9%、「たぶん行く」が18.4%と86.3%が投票に前向きで、大阪市では高い投票行動、関心が集まっていることがわかる。

 米国大統領選同様に投票運動のポスター、運動資金、媒体宣伝に制限がなくて投票日も運動が可能で、賛成支持を訴える橋下市長の大阪維新の会では数億円の運動資金を用意しているといわれる。

 (2)同世論調査では、「賛成」39.5%に「反対」は47.8%と依然反対が多数を占めているが、まだ「分からない」が12.7%と多く、どちらにせよ投票日までに賛成、反対がきっ抗した争いになる可能性は大きい。

 大阪都構想には予想した以上に(後に理由を述べるが)大阪市民の関心の高さがうかがえる。大阪市を解体廃止して5つの特別区に再編する大阪都構想がどう住民の生活、権利、保障につながるのか、賛成派からは府と市の二重行政の解消、サービスの均質化、財政健全化などが強調されるが、反対派からは二重行政は府と市の連携不足に原因があり、逆に再編により行政コスト高を招き市民の負担が増えるとネガティブキャンペーンで対抗している。

 (3)反対派の主張には「大阪市」を残したいという伝統ステータス感情論(emotionalism of traditional status)が根底にあるように思える。
 愛知県、名古屋市でも同時に中京都構想論議が進行中(実質審議は主導する河村市長の減税日本の勢力後退により進んでいない)だが、名古屋市を解体することには抵抗は強い。推進メンバー中心の知事と市長の名古屋市を残すのか、残さないのかで中京都構想の行方が定まらないでいる。

 (4)東京に次ぐ大都市の大阪圏ではあるが経済、生活、教育、インフラ・ランクで大きく後れをとり、都市計画を含めて環境整備が必要なのは外部から大阪圏を訪れるたびに強く感じることだ。

 商業都市として栄えた大阪圏としては、このわい雑、不統一な個性の大阪、浪速人情こそが大阪たるゆえんと思っているのかもしれないが、橋下市長は反対派は「何の提案も示さない」と批判している。

 (5)低迷する大阪圏の復興は、東京1極集中で都市、地方の経済格差拡大を生んでいる現状打開には不可欠の要因であり、賛成派も反対派もよく考えるべきだ。
 国政選挙のように思想、理念対立によって大きく行政の態様、体制が変わる可能性のあるものと違って、大阪都構想の賛否は住民にとっては極端にいえば実質生活には直接影響の感じないものだけに興味本位に陥(おちい)りがちになる。

 (6)大阪市の伝統ステータスを残すのか、大阪市を廃止して大阪都に変えるのか、歴史を自らの手で変えるのか、変えないのか「現状」をよく見据えての決断が求められる。

 大阪都と大阪市、変わらなくていいものは人情であり、経済、生活は時代に合わせて変わっていくものではある。

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