(1)石破首相はこれまで保守本流から外れてあまり表舞台に出てこなかったから、いつも問題の多い自民党主流派をそれとなくチクリと批判する姿勢が改革派とのイメージにつながってきた。昨年5度目の挑戦で国民の自民党裏金政治批判の中で、改革出直しをイメージさせるものとして自民党総裁に選ばれ、首相に就任した。
(2)その後の焦点の定まらないてん末は周知のとおりで、世間では「石破カラー」がみられないとの不満が出たが、そういう国民も何が「石破カラー」なのか、これまで表舞台に出ない実像がわからない中でのあやふやな期待感でしかなかった。
少数与党となった石破政権では国会運営が課題の中で維新との政策協議で合意をみて協力のもとに来年度予算案の衆院通過、年度内の成立も見通せる状況から、順調なすべりだしとなった。
(3)問題はこれからというときに、石破首相が3日に首相公邸で自民党衆院1期生15人と会食し全員に10万円の商品券を配っていたことがあきらかになった。石破首相は10万円商品券配布について「会食のお土産代わり」でポケットマネーを使い政治活動に関する寄付ではないとして違法性はないと説明している。
(4)わざわざ記者の規正法抵触疑いの質問に対して「第何条のどの条文かおっしゃっていただけると正確にお答えできる」と強弁してみせた。これまでも商品券配布はあったと認めている。
なぜ15人の衆院1期生との公邸での会食となったのか、10万円もの商品券がプレミアムなお土産代わりとして15人に配られた(現物は各事務所に届けられた)のか、党内基盤の弱い石破首相として会食、高額商品券を使って政治的党内勢力拡大として働きかけたものではないのか、15人だけの衆院1期生激励会食だけでは説明がつかない。
(5)しかし、特に注目したいのは石破首相がポケットマネーを使ったと述べて「国会議員を長くやっていると自分で使えるカネはある」と述べたことだ。解釈すると国会議員はカネが集まり、もうけ稼業だというようにも聞こえる。
改革派イメージとみられていた石破首相の口からそういう言葉を聞くことになるとは思ってもいなかっただけに、残念であり驚きでもある。
(6)国民の多くは実像のないあるいは実像の違う「石破カラー」に目がくらんで(ishiba colors is blinded)いたのではないのか。