(1)22年度の国の税収が71.1兆円で過去最高となった。消費税、所得税、法人税の税収が堅調だった(報道)ことがあげられている。国民にはうれしくもない継続的な大型多品目物価高の影響、余波だ。
(2)日銀は今年6月の企業短観で7期ぶりの改善に転じた。東証は日経平均株価がバブル後最高値の3万3700円台を記録した。威勢のいい、景気のいい経済指数を示す数字が並び、あわせるように22年の国会議員の所得総額が公表されてこちらは平均で99万円減(報道)ということだが、実体をどこまで示しているのかわからずに議員平均2156万円は庶民感覚からみれば高額所得に変わりはない。
(3)株価が上昇し、土地価格も高騰で株配当、土地売却が議員の高額所得を支えている。大企業、富裕層に有利な経済事情は変わらずに、日本社会の二極化、格差社会がより鮮明にみえる。エネルギー価格、原材料価格の高騰が一段落したといわれるが、電気料金値上げはこれからで今年一杯にかけて大型物価高が続く社会は国民消費者には賃上げが追いつかない厳しい生活がまだまだ続く見通しだ。
(4)黒田日銀前総裁は2%物価上昇で企業収入が増えて、賃上げにつなげる効果を唱え続けたが、世界的なエネルギー高騰の思わぬ誤算で物価高は4%近く上昇して本人は賃上げ効果が物価高を上回る健全な物価上昇ではないと強調しているが、消費税、所得税、法人税での税収増で政府にはいい置き土産をしたと思っているのではないのか。
(5)植田日銀新体制も当面は大規模な金融緩和策の続行を表明している。しかし過去最高の税収増は防衛費増額に回る予定で国防、防衛の必要性はあっても国民生活には直接恩恵を受けるものではない。
台湾有事に備えた南西諸島へのミサイル配備の自衛隊駐屯地新設による防衛力強化は地元住民にとって他国から攻撃される不安も大きくリスク論もある。
(6)どう見ても輸出主力産業の自動車部門がEV化で世界に大きく遅れを取り、IT化、AI化、半導体事業で水をあけられて、企業のコンプライアンス不足、外国企業の傘下に入る日本経済、企業が今後成長を続けることができるのか不安はある。
(7)人口減少は大きなリスク要素であり、岸田政権も少子化対策に取り組んでいるが成果はわからずに、冒頭のような威勢のいい、景気のいい話、数字がカラ元気に終わらないような対策が必要だ。